約束への応援コメント
読ませていただきました。
「約束を守る」という至極真っ当な美徳が、ある一点を超えた瞬間に「逃れられない絶対的な呪い」へと反転していく過程が描かれた、極めて完成度の高い掌編ホラーだと感じました。
「約束には責任が伴う」という教えを、子供特有の無垢な純粋さと、底知れない執着に近い論理で解釈してしまった主人公の姿には、読んでいるこちらの背筋が凍るような恐ろしさがあります。彼にとって、約束を破ることは単なる不誠実などではなく、世界の秩序そのものを崩壊させる重罪であり、ゆえに運動会の約束を阻んだ兄を「約束を破らせた原因」として冷徹に排除する決断に至ったのでしょう。警察の「自殺」という見立てと、母の「そんな子じゃない」という必死の訴えが、終盤に主人公が机から取り出した「一年前と同じ頑丈なロープ」という描写で結びついた瞬間、彼が四年生にしてすでに行っていた「約束の純粋性を守るためのメンテナンス」としての殺人の輪郭が浮かび上がり、凄まじい衝撃を受けました。
また、母が兄の死後に放った「貴方は絶対に守るからね」という誓いが、主人公にとっては「自分を害することさえ許さない絶対的な拘束」として受領されていた点も非常に皮肉で悲劇的です。母が酒に溺れ、自暴自棄になって「死んでしまえ」と叫んだ瞬間、彼女はかつての約束を破っただけでなく、言霊の宿る「約束」を新たに口にしてしまったことになります。主人公がロープを握りしめてリビングへ向かうのは、母が自分に放った言葉を「責任を伴う約束」として果たさせるためであり、この家族に流れる「言霊」への信仰が、もはや狂気という名の義務に塗り替えられていることが伝わってきます。「それを教えてくれたのは母さんだよ」という最後の一行は、母方の実家から受け継がれたという家訓が、実は血族を縛り、間引き続けるための「負の連鎖」であったことを示唆しており、物語の幕が閉じた後も止まない戦慄を残しています。面白かったです。(初めてホラー作品を読ませていただきました。ホラー作品の本質についてはあまり理解できていないので、外しまくりの感想だったら本当にすみません。)
作者からの返信
コメントありがとうございます!
めちゃくちゃその通りです!
ここまで的が当たっている感想は珍しいのでとても嬉しいです!
(長文で感想を頂いたのにこれだけで申し訳ない。ただ、あなたの感想が完璧で何も言うことないんです。)
約束への応援コメント
こちらの作品も人が怖い作品でした。
最初はシンプルで淡々とストーリーが過ぎていく感じがするのですが、それはまるで異常な当たり前に慣れ切った主人公の心のようで。
考えてみれば、両親の離婚で夫婦の約束はきっと破られたのでしょう。
約束と責任を強く躾けられた主人公は、そこから大きな衝撃を、語られず受けているはずなのではと想像しました。
兄に対する異常な憤りは、それまでがあってのことかなと。
結末は主人公が受けてきた、無責任な虐待にも近い躾が彼を人でなくしたように感じ、殺伐としたホラーらしいラストが良かったです。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
人間の怖さを引き出すのが大変でした……。
ありがとうございました!
約束への応援コメント
この短編、読後に残ったのは「悲しい」よりも先に、“約束という言葉そのものが怖い”という感覚でした。
そしてその怖さを成立させている核が、まさにアンカリングの設計だと思います。
最初に焼き付いた映像が「冷蔵庫に貼られた運動会の招待状」でした。
あれ、最初は暖色の家庭の風景なんですよね。磁石で貼って、にこにこして。
でも話が進むほど、その暖かさがじわじわ冷えていく。
色が変わるように、意味も変わっていく。
この“色温度の変化”が、サブモダリティ・チェンジとして効いていて、読者の体感も冷やしてくるのが上手いです。
「約束」は最初、安心を呼び出すトリガーとして機能していたのに
兄が熱を出したあたりから、同じ言葉が拘束/呪いに反転していく。
このリフレーミングが綺麗で、ここが一番強いカタルシス(というより戦慄)でした。
“約束=愛”が、“約束=呪い”へ変わる瞬間、読者の中の倫理観も揺らされます。
そしてパターン・インタラプトの頂点は、やっぱり運動会翌日の悲鳴。
日常の延長線で読ませた後に、サイレンで現実をねじ込む。
この音のアンカーが強烈で、一気に空気が変わりました。
個人的に胸が締まったのは「入ってきちゃダメ!」の場面です。
あそこ、母の言葉が“優しさ”にも“拒絶”にも聞こえる曖昧さ(ミルトンモデル的な余白)があって、
読者が勝手に想像で埋めてしまう。だからこそ怖い。
さらにオープンループとして残る問いも鋭いです。
「母は壊れたのか、最初から壊れていたのか」
ここを回収しきらずに置くことで、この物語の恐怖が“作品の外”までついてきます。
ラスト、ロープが再登場した瞬間に「やはりコイツか」と思わされたのは、
完全にアンカーが成功してる証拠ですね。小物が感情を再起動する。見事でした。
全体として、出来事以上に「状態変化の設計」が丁寧で
“愛が歪むと呪いに変わる”というテーマが、読者の体感として沈んでいきます。
短いのに、読後の余韻が長い。怖いのに、読み切ってしまう。
とても強い作品でした。
作者からの返信
ありがとうございます。
日常から狂気へのグラデーションは少し意識していました。