人型戦車の起動手順やスラスターの熱管理、火星の低重力戦術など、ハードSF的なディテールを丁寧に積み上げた重厚なミリタリーSFです。移民問題や星間政治も絡めた社会描写に厚みがある反面、専門用語が多く読者を選ぶ一面がありそうですが、私は興味深く読む事ができました。
「ゲームの天才」が、現実の泥沼の中で「真の兵士」へと脱皮していく。本作は、単なるロボットアクションではありません。特筆すべきは、妥協のない描写です。エネルギー理論から、物理現象の表現は、読者の脳内に鮮明な映像を見せます。人型戦車が単なる乗り物ではなく、自意識の器として描かれ、読者はそこに「万能感」と、同時に仲間を失う「痛み」が脳を焼く恐怖を覚えることになります。オイルの焦げる臭いまでが伝わってくるような、凄まじい密度のミリタリー・アクションでした!