12月23日『たまごの殻』

 死ぬのは僕ではない、死ぬのは僕ではない、いつまで経っても死ぬのは僕ではない。そのことを知らずに今日も東京の一室で僕はものを書く。薄っぺらい言葉だ、パステルカラーの電波じゃどこにも辿り着けやしなくて、ただ僕は地球の表面を撫でては今日も明日があると思い込む。明日があるならなんで書くのだろう。卵の殻を眺めているだけじゃ何も食べられはしなくて、誰も僕にぜんぶを見せてくれないんだ。ならどうして、ならどうして僕は書くのだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る