ヤクザルート

第1話 追い剥ぎ

クルニア歴1036年1月21日



『貴方は不幸にも亡くなりました。

それを私が拾い上げ、再構成しました。スキルをつけて。

貴方に与えられたスキルは"成長"。

貴方のその全てが成長します。

喧嘩も、話術も、カリスマも。

この世界には、貴方と同じ境遇の方が6人います。

それでは、良き人生を』


◇◆◇◆◇◆


「くわぁ~……」


寝た。

なんかすげぇ寝た。

しかも、すげぇスッキリしてる。昨日あんだけ飲んだのによぉ。


「いや~、寝起きがいいと風も心地いいぜぇ……ってなんじゃここはぁ!」


見渡す限り草原だった。

だけど綺麗じゃねえ。なんか映画に出てくる荒野みたいだ。


「どこだよここ……。それにさっきの声。わけわかんねーこと言いやがって。」


どうしたもんか、と思ってるとどこからか声がする。


「おい、ここにも居たぜ!」


あん?

その方を見ると3人くらいの男がやってくる。

ボロい服着てんなぁ。


「へっへっ、コイツはツいてんな」

「いいもの着てんぜ」


なんだ、コイツら?


「おい!コレが見えるか?」


そう言いながらナイフをチラつかせてくる。

あー、いたなぁ。得物もったら強くなった気がしてたヤツ。


「死にたくなかったら、持ってるもん全部だしなぁ!」

「服も脱げよ!高く売れそうだしな!」


「…アぁ?」

なんだコイツら、もしかして…。


「なぁ、お前ら。もしかして俺に喧嘩売ってんのか?」


「喧嘩だぁ?バカ言ってんじゃねぇ!」

「そうそう!雑魚から全部いただく簡単なお仕事だぜ~?」

「ギャハハ!おら、さっさとよこしやがれ!」



雑魚。

そう聞いたらムカっ腹がたってきた。舐められてるってことだ。


「……舐められたまんまで引き下がると思ってんのか?」

ヤクザは舐められたら終いだ。

なら。


「ここがどこだか知らねえが!

藤山一会直系、柴山組。

その若頭が小早川 龍次!

楯突いたことを後悔させてやる!」


それと同時に、俺の体からオーラみたいなのが溢れる。


「うわっ!なんだこりゃ!?」

昔、マンガで見た闘気みたいだ。

なんかシュインシュインなりそうな感じもする。


「な、なんなんだコイツ!?」


今更ながらにゴロツキ共が怯えてやがる。

だが遅え、落とし前つけさせてもらうぜ。


俺は近くに居たゴロツキAに向けて走り出し、そのまま顔面ドロップキック!


「ごはぁ!」

「やりやがったなコイツ!」


倒れた俺めがけてゴロツキBがナイフを振り下ろしてきた。


「あぶねっ」

俺はそれをゴロゴロと転がって避ける。


「くそ!」

外れたナイフはそのまま地面に突き刺さった。ゴロツキBがよろける。


(チャンスだ!)


勢いよく立ち上がり、Bの頭に右の回し蹴り!


「うごぉっ!」


上手いとこ入ったのか、そのまま倒れるB。


「う、うりゃあぁ!」

破れかぶれになったCがナイフ片手に突っ込んできた。


(遅え……)


俺は回し蹴りの勢いを殺さず右足を下ろし、それを軸に左で後ろ蹴り!


「あがっ……!」


どうやら腹に決まったようで崩れ落ちるC。


俺の前にひれ伏した様に倒れ、うずくまるヤツらを見下ろす。


「痛ぇだろう。

舐めた落とし前は、一旦それで済ませてやる。

さぁて、まだやんのか?」


俺は構わないけどなぁ。

そうやって、睨みを効かせる。


そしたらAが痛みに耐えながらも、土下座してきやがった。


「す、すまねぇ!降参だ、許してくれ!

まさか"追い剥ぎ草原"にアンタみてぇな強いヤツがいるとは思わなかった!」


……あ?


「おい、お前」


「へ、へい!」


「その"追い剥ぎ草原"って、なんだ?」


「……はぁ?」


◇◆◇◆◇◆


とりあえずゴロツキどもを座らせて詳しく話を聞く。

どうやらゴロツキAはアレイ、Bはブルトン、Cはコッツというらしい。


「で、追い剥ぎ草原てなんなんだよ。」


代表してアレイが答えた。


「追い剥ぎ草原ってぇのは、自由都市から追い出されたヤツらが行くところで。

あ、自由都市ってのはアルマンドラ大陸のなんか端っこの方にあるんで……」


「……バカにしてんのか?」


「いやいやいや!してないですよ!」


……つってもなぁ。

日本にゃそんなとこねぇし、まるで別世界みてぇだな。


別世界といやぁ、あの声だ。

なんか、俺が死んだみたいなこと言ってたか。


死んで、転生ってやつをしたのか?

そういや舎弟の宮下がそんなマンガ読んでたような気もする……。よく覚えてねぇけど。


「あの、リュージ様」


そんなこと考えてたらアレイの奴が声かけてきた。


「あん?どうしたよ」


「その、俺達をアンタの子分にしてもらえねぇだろうか?」


「……はぁ!?」


いきなり何言い出すんだコイツ。


「自由都市ってのは強いやつが幅利かせてるんだ。俺達は弱いからここで狩るしかできねぇけど……。

でも、アンタの子分なら、アンタみたいに強いヤツの子分なら俺達にも旨味が……!」


「ハッ!俺を隠れ蓑にして、お前らが幅利かせようってか。ただのクズじゃねぇか」


「うぅ……。……ああそうだよ!クズだよ!

でも、生きてぇって思っちゃダメか!?夢見ちゃダメか!?

ここじゃぁ、クズになるしか生きれなかったんだっ……!!

だから頼む!!」


そういって3人とも頭下げてきやがった。

……ったく、俺の部下共を思い出させるバカさだな。

けど、全てをかなぐり捨ててまで頼んでんのは無下にはできねぇ。



「俺の子分になりてぇんなら、1つ条件がある。」


「そりゃあ……!?」


「お前ら。俺以外から奪ったもんがあんなら、奪ったやつに返せ。

キッチリ筋通すんなら、拾ってやる。」


「そ、それで、いいんだな?返したら子分にしてくれんだな!?」


「おう。二言はねぇ。」


「わかった!すぐに返してくるから待ってろよ!

ブルトン、コッツ、行くぞ!」


そういって3人連れだって走っていった。

アイツらが戻ってきたら、色々話を聞かなきゃあな。

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