転生者達の異世界ライフ!

@morusan_create

ドラゴンルート

第1話 永い時の始まり

大陸歴52年(クルニア紀元前)


『貴方は不幸にも亡くなりました。

それを私が拾い上げ、構成しました。スキルをつけて。

貴方に与えられたスキルは"進化"。

望めばどこまでも進化するでしょう。

それこそ、種を超えてでも。

この世界には、貴方と同じ境遇の方が6人います。

それでは、良き人生を』


◇◆◇◆◇◆


──起きなさい。


う〜ん、まだ眠い……


──起きなさい、坊や。


母ちゃんの声だ……


──そろそろご飯の時間よ。


ご飯!?


その言葉に俺はガバッと飛び跳ねるように起きる。


腹減ったなぁ。

昨日ゲームしながら寝落ちしちゃったから、身体が固いよ。


って、あれ?

ここどこだ?

俺の部屋じゃない……なんか洞窟?


──どうしたの?


キョロキョロ見回していると上から声がする。

母ちゃんがいるのか、と安心したけど……。

上から?


恐る恐る見上げると、でっけぇドラゴンがいた。


「おわぁぁ!なんで!?ドラゴ……えぇ!?」


ゲームでは見たことあるけど、そんな物じゃねぇ。

まさに"本物"っていう迫力と存在感がある。

でも、声は母ちゃんだ……。


──まだ、寝ぼけてるのかしら

──生まれてから間もないものね


へ?

生まれた?

俺、普通の高校生だったんだけど。


──ご飯の前に、顔を洗った方がいいわね


そう言われ、ドラゴンの手に捕まれ泉に運ばれる。

洞窟の中に泉あるんだぁ……。

そんな呑気な考えは、反射した自分の姿を見て吹っ飛んだ。


そこには。

ちっちゃなヤモリのような、それでもドラゴンの面影がある、"俺"がいた。


「ええぇぇぇーーー!?」


◇◆◇◆◇◆


あれから母ちゃんにあやされながら飯食ったら落ち着いた。

パニクっても腹一杯になったら落ち着くのは、人間もドラゴンも一緒なんだなぁ……。


(にしてもこれって、異世界転生ってヤツだよ……な)


転生したってことは俺死んだんだろうけど、なにがあったのかさっぱり覚えてないんだよー。


でも、あの声が、俺は死んだって言ってたし。

実際にドラゴンになってるし。


わかんないことだらけだ。


わかんないことは、わかる人に聞く!

というわけで。


「母ちゃーん!」


──どうしたの?坊や


呼んだらすぐに来てくれた。優しい。


「母ちゃん、教えてほしいことがあるんだけど!」


──いいわよ、なにかしら?


えーと、まずはここがどこか、だよな。


「ここどこなの?」


──ここは大きな島にある山の中の洞窟、私たちの家よ


お、おう。

じゃあ次だ!


「俺たち以外に誰かいないの?人間とかエルフとか!」


──ニンゲン……エルフ……聞いたことないわね

──同族なら他の山に居るわよ。ここには私たちだけ


いないのかよ!

じゃあ、他6人って同じドラゴンなのか?


「国とかは、あるの?」


──クニ……初めて聞いたわ


ああぁぁぁ!情報が増えねぇ!


じゃあ、もうこれで最後だ!


「母ちゃん!俺、進化したい!」


そうだ!

貰ったスキルがあるんなら、パパッと進化して好きなことやってやる!

進化したらなんでもできるだろ!


──あら、もうそこまで考えられるのね

──さすが私の子、鼻が高いわ


褒められた!

けどそうじゃないんだよー


──でも坊やにはまだ早いわ

──心と体が追いついた時に、初めて進化の兆しが見えるの

──今は、体を作っていきましょう?


おー……?

何も出来ねぇってことじゃねえか!

なんなんだよー。


「スキルって意味ないじゃんかー」


──スキル?


あ、やべ。

声に出してたか。


──そう。坊やはスキルを、神の祝福を持っていたのね


おや?


──神の祝福は、その者に足りないものが与えられるの

──坊やが進化の祝福を持っているなら、進化に苦労するのね

──でも大丈夫。お母さんがついてるからね


母ちゃん……。

不貞腐れてた俺がバカみたいだ。

ありがとう、ありがとう……!


「ありがとう、母ちゃん。俺頑張るよ!」


──ふふ、元気が出たみたい

──さっきも言ったけど、まずは体作りからね

──500年くらいで出来上がると思うわ


おう!

やってやるぜぇ!……ん?


「500年?」


──ええ。


「5年じゃなくて?」


──……さすがに、それは無理よ


「ええぇぇぇーーー!?」


ドラゴンって、何をするにもスケールでかすぎる!


◇◆◇◆◇◆


それからはもう、食って寝ての繰り返し。

体を作るためにとにかくなんでも食ってとにかく寝た。


母ちゃんが作ってくれる飯から、そこら辺の虫まで食っていった。

最初は抵抗があったものの進化のため!と思っていたらなんでも食えた。

俺がドラゴンになったのもあるだろう。


それに時間間隔も伸びた感じがする。

最初は500年なんて、って思ってたけどなんだかあっという間に過ぎていった。


そして!今日!

とうとう500年経ったのだ!


小さなヤモリからコモドドラゴンくらいに大きくなり、顔つきもキリッとしてきた。

母ちゃんもカッコいいって褒めてくれるしな!


これで進化できるぞ!

というわけで、母ちゃーん!


──どうしたの、坊や?


「俺、体おっきくなったよ!進化できるよね!」


──……


あ、あれ?


──坊や、体が大きくなっても心が……


……あえ?


──進化の兆しも見えないし、瞑想でもしましょうか

──100年くらい


あえーーーーー!?

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