もう逢う事のない君に

NAO

「コウノトリ」

きっと誰もが

授かる器を持って

生まれて来るのなら

神様にも

見落としがあるのね

うちの行方不明になった鳥は

まだ 見つかりませんか


ハンドルを握る手に

思わず力が入る

ラジオから聞こえる

ニュースキャスターの言葉は

今日も

同じフレーズを繰り返している

お金がなくて とか

望んでなかった とか

大人の事情を振りかざし

しつけだった とか

泣き止まなくて とか

虐待である事を

認めようとはしない

何故こんな大人に

親になる資格を

与えるのだろうか

神様にも

間違いがあるのね

どんなに望んでも

授かれない人も

いると言うのに


一人くらいは欲しいわね

授かりものだから

ないものねだりも良くないけど

あなたももういい歳でしょう

ごもっともなご意見で

ぐうの音も出ない

私の所へ来ない理由を

決して

体のせいにはしたくないので

笑ってこう答える

「うちのコウノトリは仕事しないのよ」

心の中は嵐だったのに


かくて 女と言うものは

いつからこんなにも

母親になる事を望む生き物に

変わるのだろうか

うちの行方不明になったコウノトリは

どこをほっつき歩いているのかしらね

信号が変わると

前の車のリアウィンドウ越しに

子供がこちらに手を振っている

それは一生懸命に

笑顔で手を振り返して

ウィンカーを出す

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