第14話 束の間の日常

次は、1日あけての試合となり、今は一時中断中だ。


そして装いを冒険者用に着替えて、闇商店へと赴いた。


この1ヶ月、依頼をこなして報酬を得ては闇商店へと行き、

依頼のない日も暇なら闇商店へと行く日々を送っていた。


店主「おい、お前ら。ここは溜まり場じゃねぇぞ!」


ガッツ「いいじゃんいいじゃん!ここは落ち着くんだよ!」


オリバー「僕が仮面をはずせる唯一の場所でもあるからね」


店主はオリバーの素顔を知っている為、

闇商店では仮面を外している。


店主は2人の装備をマジマジとみていた。


店主「うちのお荷物だったソイツらを…

よくそんなに使いこなせているな。

仮面は何か悪い影響は出てないか?」


オリバー「悪い影響?いや、出てないけど…。

え、なに?出るの…?」


店主「いやいや!出るかは知らねぇよ!

ただ、"クセ"ありの遺物だったから心配になっただけだ」


オリバー「今のところ何ともないよ」




店主「それならいいんだ。

そう言えばお前ら、銅ランクに上がったんだってな!

最近じゃ"仮面と鎧の二人組"は、

なかなか有名になってきてるしな!」



オリバー「ガッツの耐久力が規格外過ぎて楽勝だよ」



ガッツ「それならオリバーも規格外だろ!

もう魔法使いとは思えないぐらいの身のこなしだし、

本当に使ったかわからないように魔法使ってるし…

やっぱすげーよ!」


互いに褒め合う2人を見て店主は微笑んでいる。


店主「いいコンビなんだな。

1回どっかでお前らの戦ってるところ見てみたいもんだな!」


などと言いながら談笑をし、

あっという間に時間が過ぎていった。



ガッツ「じゃあ訓練の時間だから行くよ!またな!」


オリバー「うん、またね」




(さて、僕も訓練するかな……ん?)


オリバーは何かを見つけてすぐさま気配を消し身を隠した。


(あれは…ギルドマスターのヴァルカンだ。

誰かと話しているけど…よく見えない…。

てかなんで隠れたんだろう…?)


オリバーは少しだけ身を乗り出し角度を変えて見てみると、

身体に重なって見えなかったもう一人の人物の姿が見えた。


(あの黒いローブは…師匠?

ギルド長とも知り合いだったのか…。

どんな話をしてるのだろうか…)


そう考えているうちにフードの男は、

空気に溶け込むように姿を消した。

同時にヴァルカンもギルドの方へと戻っていった。


オリバーはあの空間に溶け込むのが気になって、

その場所に見に行った。

魔法なら魔力の残滓がわかるからだ。

しかし、魔力の残滓は欠片もない。

(アレは魔法じゃないのか…!ならアレはなんなんだ)


考えることに集中していると背後から声がした。


ヴァルカン「よお!ガキ!こんなところで何をしてる?

盗み聞きしてたのはお前か?」


いつの間にか背後にいたヴァルカンに詰められた。

しかし今は仮面をしていない学生のオリバーだ。

事実を冷静に話す。


オリバー「ここで魔法を使った残滓があった気がしたから、

見に来たんだ。盗み聞きなんてしてないよ。

僕に尋問してる間に真犯人に逃げられちゃうよ?」


ヴァルカン「なんだと!!このガキが!!

お前!覚えとけよ!!」


そう言い残し真犯人を探しにいった。

ヴァルカンは巨体なのに雷くらい速い速度で――

いや、まるで"雷そのもの"のように一瞬で去っていった。


(なんだあれ…!やっぱやり合わなくてよかった…。

生きて帰れる気がしない…)



そう思いながら今日は家へと帰ることにした。


(今日は早めに休もう)


家に帰ってベッドに横になった瞬間、

気を失うように眠りについた。



そして翌朝…。

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