信じるという事は時と場合によって薬にも毒にもなり得る行為である。やばい人の話を信じて、騙されて大変な目に遭うこともあれば、大切な人の可能性を信じて思わぬ幸運を拾ったりすることもある。
本作の主人公、ナオタロは良くも悪くも『信じてしまう』人である。悪いやつに引っ掛かり、変なモノを飲まされたり買わされたりする事もある。でも、その信じてしまう力は時には闇を抱えていたメチャ強いヒロインの心を救ったり、苦しんでいた村人達を救う事もある。
この物語は、信じる事を描いた物語だと思う。信じる事で良い事も悪い事も起きちゃうそんな素晴らしい二面性がある良作だ。
序盤から、作者の熱量が凄まじいです。
その熱量は、独特の比喩表現から生まれています。
いわゆる“手垢のついた”表現ではなく、作者の創り出した表現が随所に散りばめられています。
“その表現がこの場面に合っているか?”
そんな尺度で文章を整え、綺麗ながらも小さく纏まった作品をあざ笑うかのような、作家の生み出す抑えきれないほどの圧倒的な熱量。
これこそが創作の本質であり原点なのでしょう。
序盤は制御が追いつかないほどの熱量が印象的な本作ですが、物語の進展に伴い作者が手懐けることに成功したのでしょうか、終盤では技術と熱量の均衡が取れ、一貫して発せられる熱量そのままに完成度も高めることに成功しています。
一執筆者でもある私としては、恐ろしさも感じる。
そんな作品へと昇華しています。
作者の“心”に私の“心”も動かされました。
世界の危機を救う、そんな壮大な物語ではありません。
主人公は転生者ですが、チートも無ければざまあも無い。
それでも、手の届く範囲で出来ることをする。
信じることしか出来ない(?)、不器用者の転生者。
信じることが出来ない金髪コミュ障。
この二人の“心”が絡み合う。
脇役もまた“心”を持った存在で、物語に彩を与える。
きめ細やかな話が折り重なり、等身大の物語を紡いでいます。
彼らの心がどう描かれるのか。
それは読んでみてからのお楽しみです。
『序盤は冗長ですが』は説明文にある通りなのですが、
その序盤を越えたころから人物や地の文も含め、会話劇が急加速で面白くなってきます。序盤はお皿を出されただけ。美味しいパンが出てくるのは、その後からなんです。
主人公くんも、ヒロインちゃんも、サブヒロインちゃんも、キャラクター達もみんなそれぞれ違った形で魅力的。微笑ましかったり、たくましかったり、悲壮だったり、カッコよかったり。
さらに、さらにですよ?
敵役や、名前もない人物達ですら全員良いキャラしてるんですよーーー!
カクヨムって1~3話を見て読み続けるか判断されることが多いそうですが…
序盤の3話だけ見て次の作品に行くのはもったいないです。
キャラではなく、作者の文章力がどんどん成長して行く痛快な異世界ファンタジーです
後悔を抱えたまま死した主人公が、異世界転生によって今度こそ心のままに生きようとする異世界ファンタジー作品です。
主人公は、気が付くと異世界転生を果たしていた青年。
第二の人生に特典のようなものは与えられず、むしろ、他人の言葉を無条件に信じてしまう呪いが付与されていました。
そんな主人公がはじめに出会ったのは、妹と表現するのが近しい体型のエルフ。
彼女は人を遠ざけるオーラをこれでもかと放っていましたが、主人公が窮地に陥ると真っ先に救いの手を差し伸べてくれました。
その後に二人はなし崩し的に、行動を共にするようになります。
目的もなく、何かを成し遂げる力もない。主人公は自身が転生した意味を深く考え出します。
果たして彼は、成すべき何かを見つけられるのか。
ぜひ読んでみてください。
本作は、一度死んだ青年が異世界で再誕(リバース)し、「人のことを疑うことができない」という致命的な制約を背負いながらも、あえて「偽善者」として反転(リバース)した道を選ぶという、『リバース・ファンタジー』作品です。
青年・ナオタロは制約と葛藤を抱えながらも、孤独なエルフ・ミストと共に異世界を駆け巡ります。
ナオタロは王道のヒーロー像とは一線を画しており、作中を通じて、常にやり直しの選択と決意を強いられます。
現代を生きる我々も選択と決意の連続であり、一読者として、彼の泥臭くも切実な生き様に強く共感させられることでしょう。
また、精神的に成熟しているが肉体的に非力なナオタロと、圧倒的に強いが精神的に無垢なミストのコンビも見どころの1つです。
互いの不足を補い合い、ときには信じ、ときには突き放したりと、絶妙なバディ・バランスを巧みに表現しております。
人間ドラマを重視するファンタジー読者や、一風変わった異世界主人公を求める方に強くオススメいたします。
みなさまも本作を読み、「信じること」について一度考えてみてはいかがでしょうか?
傍観者。それは他人の人生を覗き楽しむ者。
責任を取る立場に無い彼らは、時に豊かなアドバイザーとなって言葉を投げつける。
『やっちまえ』『ノリでいけ!』『やらぬ後悔よりやる後悔だ!』
さて、当事者は、そこから人生訓に沿う取捨選択をする。
思考し、疑い、熟慮を経て行動に移す、……はず。
ところがどっこい、この物語の主人公は、『相手の言葉を無条件に信じてしまう』呪いを身に宿す異世界転移者。
今まで出来なかったあれこれを、「まずやってみる」とばかりに手持ちのチップをオールインする剛の者。
こちとら一度死んだ身じゃい! そうやって生きてみたいんじゃぁーい!
まっすぐに生きなおす。
まっすぐに。
そして生まれたのは、スケベ心という真心。それはまっすぐな男心。
穢れある純真の輝き――。