監視カメラに残された音声映像
街の中心に位置するコンビニエンスストアの監視カメラの記録を以下に記す。
『……あ、直った? いや、映像はダメだな。店長、やっぱ買い替えた方がいいっすよこれ』
『いーの、いーの。節約だからね』
『そんなこと言って、もしまた警察が来たら……』
『大丈夫だって! 前来たときにもうカメラのことは伝えているからね』
『……まあ、それなら』
『じゃ、カメラも直ったことだし私は奥にいるから、品出しよろしくね』
『えー、それオレの仕事じゃないっすよ。笠原さんが担当じゃないですか?』
『仕方ないじゃない。笠原くんもいないし、今日はやけに商品も売れてるし』
『……わかりました、やるっす』
(店内が静かになる)
(何かを引く音と足音がする)
(ガサゴソと音がする)
(自動ドアが開く)
『いらっしゃっせー』
(忙しない足音がする)
『……あのー、風邪薬ってどこにありますか?』
『風邪薬はですね、こちらに……。あ、ないっすね。すぐに補充しますんで』
(ガサゴソと音がする)
『……あれ? あー、すみません。ちょっとバックヤードも見てきますね』
(一人分の足音が遠のいていく)
(忙しない足音がする)
(足音が速くなる)
(足音が更に速くなる)
(客が咳き込む)
(足音が近づいてくる)
『すみません、どうやらもう在庫が残ってないみたいですね』
『そんな……、じゃあマスクはありますか?』
『マスクもなかったですね。すみません。医薬品はだいたい在庫切れみたいっす。こっから少し歩いたとこに薬局があるんで、そっちが良いかもしんないっす』
『……わかりました、そうしてみます』
『あざっしたー』
(自動ドアが開く)
(足音が遠のいていく)
(カメラが異音を放つ)
(雑音が大きくなる)
(音が消える)
(カメラに映像が戻る)
(店員が自身の喉に触れる)
(カメラが落下する)
(暗転する)
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