第22話 次への手紙
ある日の昼下がり、レオンの家にセリアとガルドが集まり、悠真の話を聞いていた。
「なによその、ヒコーキって?空を飛ぶってどういうこと?」
「僕はショクチュウショクブツが気になりますね、ムシ……を食べる?植物がですか?」
「オレはジュウってのが気に入ったな!!魔術を使わずして遠くの敵を倒せるからな!!」
「あーもう!!うるせえうるせえ!!一度に喋んな!!」
悠真は堪らず耳を塞ぎ声を張り上げる。
「そもそもなぁ、なんでお前ら二人が居るんだよ、暇か?」
「まあな、オッサンの様子見も兼ねてだ」
「良いじゃない、こんなに可愛い子が来てくれたんだから、アンタも嬉しいでしょ?」
途端に悠真の表情が険しくなる。
「な……なによ、文句有るの?」
「いや、俺は個人的に可愛いと思うんだが……みんな美男美女ばかりだからな、差が分からん……ガルドにはどう見える?」
「十分可愛いぞ」
「なるほど……レオンは?」
「ちょっと!!」
口を開いたレオンを止めようとしたセリアだったが、遅かった。
「僕が答えるまでもないと思いますが?」
「だってよ、良かったなーセリア、ヒューヒュー!」
瞬間、手のひらが悠真の頭に叩き付けられスパァン!!と小気味良い音が響く。
「痛いな!!」
「アンタのせいでしょ!!」
「お前が言い出したんだろ!」
「変なところで真面目に考えないでよ!!」
二人が睨み合っていると、微かにコトン……という音が鳴った。家主のレオンだけが気付き玄関に向かい、手紙を手に戻ってきた。中身を読んだレオンが悠真の目の前でヒラヒラと動かす。
「ユーマさん、お手紙です」
「俺宛に?何かの間違いだろ?」
読んでみると確かに悠真宛だった、中身は……
「なんで孤児院が俺をご指名で呼んでるんだよ?」
「中に書いて有ったでしょう?一人の子どもの魔術の暴走により困ってると」
「ますます意味が分からん」
腕を組み唸っている悠真に、セリアが自身の魔術で生成した硬い水を投げつけた、頭に当たりゴンッという鈍い音が響く。
「やめろ!いい加減アホになるわ!」
「アンタが忘れたことを思い出させてあげたのよ、自分が今まで散々やってきたこと覚えてないの?」
ウグゥ……と黙り込む悠真を前に、セリアが得意げに水球を操っている。
「ユーマさん、お返事は?」
「まぁ……行くだけ行ってみるか……」
(ダメ元でもやってみて、役に立てたら良いさ)
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