第3話 初めての邂逅

気を取り直し、暫く歩いていると段々と木々が薄れ、人工的な建物に到着した。


 (……どこだココ?日本……なのか?)


 建物の外見はヨーロッパ調、街を行く人々の髪の彩度は高く色鮮やかである。そして何より……


 (明らかに日本人の顔立ちじゃねぇな)

 (にしても……漏れなく全員俺よりムキムキだな、はは、RPGゲームの戦士みたいだ)

 (装備もゲームっぽいしな……そういうアミューズメントパークか?)


 まるで異世界にでも迷い込んだような感覚を覚える。


 (はは、俺が小説の主人公なら、まるでいわゆる……異世界転生ものだな)

 (それともやはり、俺の妄想か幻覚か……)


 皮肉るように頭の中で呟くと、人の気配に惹かれてフラフラと中に入っていった。しかしどうにも妙な違和感を覚える。


 (視線が痛い……)


 ジロジロと見てくるわけではないのだが、目の端でチラチラとコチラを伺う様子が見て取れる。気分の良いものでは無い。しかし誰かに声をかけようにも見えない壁を感じる。


 (しんどい、だるい……)


 歩いているうちに建物がない空間に入った、広場……とでも形容したらいいのだろうか、その中心に井戸らしきものが有り、傍らにはロープが巻き付いた桶も有る。森の中を彷徨い歩いていて喉が乾いていた悠真は桶を井戸の中に投げ入れ水を汲もうとした……が。


 (お……重い……まるで上がらねぇ)


 四苦八苦していると横から女の子に声をかけられた、見ると鮮やかな青い髪をした比較的軽装の年下っぽい出で立ちだった。パッと見た感じ気が強そうな猫のような目をしている。


 「どうしたんですか?手伝いましょうか?」

 「あ、あぁ。よろしくお願いします」


 悠真の言葉遣いに一瞬怪訝そうな顔をした少女は軽々と水を汲み桶を井戸の淵に置いた。


 「どうぞ」

 「ありがとう、助かるよ」


 桶の中に手をツッコミ掬い上げ水を飲む悠真、ヒンヤリと冷たく雑味のない純粋な液体が喉の奥を通る。


 「生き返った……」


 悠真が一息ついていると、少女は興味深げに傍らに立っていた。上から下まで観察されているように感じる。


 「あぁ、ゴメン。今何も持ってなくて、お礼はまた今度……」

 「お礼は大丈夫です、それより……履物、どうしたんですか?」

 「それが、俺もよく分かってなくて……気付いたら森の中にいて、歩いてたらココに来たというか……」

 「森の中から!?アッチの!?」


 急に大きな声を出され驚いた悠真は返事の代わりにコクコクと首を縦に動かした。


 「……ちょっと、付いてきてくれます?相談したい人がいるので」

 「わ……分かった」


 少女の迫力に気圧されて大人しくついていく悠真。


 (一応年上のはずなんだが、どこに行っても相変わらず俺は情けないな……)

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