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SNSは常に炎上している。男女とか、優劣とか、覚悟のあるなしとか、今はアイドルの炎上で盛り上がっている様だった。そんな事はうちの同居人も勿論知っているだろうが、心を奪われたのは其方では無いようだった。

「○ィズニーの潮アイス。容器着いてないの!? え!? モナカになった!? はぁーーー」

この世の終わりの様な、其こそ押していたアイドルの熱愛報道を見たような絶叫をし、頭を抱えて崩れ落ちた。その時の顔と言ったら、販売元を丑の刻参りする程の憎悪が滲んでいる。

そんな容器ぐらいで。などと思っていたが、同居人にとっては、それはもう、世界が終わる程強烈な損失であったらしい。

「……○ィズニー行ったらまた買おうと思ってたのに……」

お前そもそも興味ねぇだろ。海の方は。アリス好きなんだから、陸の行ってろよ。

そもそも『水色はシンデレラがー、人魚姫がー』とか日夜叫びまくり、『アリスのイメージカラーに鎮座する姫君達……』とか恨めしそうに言ってるの忘れてねぇからな。

「そんなに大事なモンなら、そもそも実家にあるだろ」

「なんか無くした。数年の時と共にまたどっか行った。最初のピンクの貝殻も、二個目のハート型も、三個目のピンクの貝殻も、どっか行った。多分見知りぬうちに母が捨てた。多分」

……大変失礼ながら、お前の母ならやりそうだな。お前に言わせると、『スプーンやフォークも無くす。なんか流したとか言ってた。いつも使ってるバレッタも壊してないのに気が付いたら一個』とか言うぐらいだもんな。

そんなに発言に困り果て、返答を噤んでいると、諦めた様に欠伸をした。

「まぁほら、大切にしてたものって、どっか行っちゃうからさ。私のアリスのシャカシャカミラーとか、メガネケースとか。私のストーカー根性に負けて、どっか行っちゃうからさ。アイドルも似たようなものだよ」

何故か全く関係のない一言で締めくくられた。

「追い求めるものは消えゆく定めだよ。だからそんなに苦しまないの」

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