「反日議員」と呼ばれる人物の言動の裏に隠された「見返り」という導入から、政治的な立場と裏社会が結びついていく構図がまず不穏さを放っています。レビューでも触れられている通り、フィクションでありながら現実味を感じさせる設定が、本作の不気味さを支えていると思いました。
夢と現実を二段構えで描き、犠牲にされた者たちが主人公に迫ってくるという展開は、容赦のない罪と報いの構造を読者に突きつけてきます。「他人の犠牲の上に成り立つ幸福」を真正面から否定する姿勢が、単なるショックホラーではなく倫理的な問いかけとして機能しているのが本作の強みです。
4,455文字というコンパクトな分量に、社会派の鋭さと心理的な恐怖を両立させていて、読後にしばらく重さが残る一作だと思います。