本文
○ンドレア ○ーランドのネイルリップバームのパケ(コスメで言う入れ物や容器。外側)が可愛くて複数買いをしたものの、中身を使用しておらず、扱いに悩んでいる。
パケが最大の目当ての為、傷付いた途端に私の心も傷付く。その為家での使用を考えた時の話でしよう。面白いかは分からないが、一人の人間がアロマリップに踊らされる一面が見られる。
開ける前から漂う強烈に天真爛漫な香りに噎せそうになりながら、襲いかかるトランプを睨め付けるアリスをの蓋を開けると、オレンジ色の中身が顔を出す。
指で突いた触り心地としては、冬場の○セリンに近いかも知れない。とどのつまり硬ぇのである。上手く掘り起こして手の甲全体に擦り付ける事も考えたが、其れをやったら容器と私の心がブレイクされるので、其れは断念。そしてその為、爪に塗ることも難しい。左手は容器で塞がり、右手だけが使用可能。右手の指に塗るには左手が必要という堂々巡りである。
で、結局のところ、表面を右手の指で溶かすと良い感じに必要分が取れたので、早速唇に塗ってみる事にした。
あの引き出しに閉じ込められていた、強烈な柑橘系の匂い。其れが口元という、そりゃ鼻に近いだろうという場所に塗ればどうなるかは火を見るより明らかである。
天真爛漫かつ強烈な甘い柑橘系の香りが鼻を直撃し、私は一度大きく深呼吸をした。このまま乗り物に乗るべきものではないと体が警告している。
リップとしての塗り心地は良いのだが。膜で覆われた様なしっとりとした感触が気に入っているのだが、如何せんあの机の中に監禁され、ひたすらに閉じ込められた匂いが強烈に鼻腔を刺してくる。
決して、嫌な匂いという訳ではなく。今少し手加減してくれたら、気に入るはずなのだが、香水を鼻に付けて、そのまま匂いを嗅いだ時のような強烈さがある。
匂いなんだよなぁ。そうそうそう。匂い。もー少し手加減をしてくれたらなぁ。そんなことを考えながら、ポーチに入れた。
ベンチに座った途端、鏡花はポーチの中から、ちんまいケースを取り出した。死んだ目で其れを見ると、中身を指で溶かし、唇に塗っていく。なんとも神妙な顔をした後に、ため息を吐いた。
「保湿としては申し分ないけど、オーガニックだから、体にも良いけど、もう少し匂いを抑えてくれたらなぁ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。