第7話 静かな終末

世界は、すぐには終わらなかった。


通信は生きている。

だが、

応答が返らない。



それでも、

止まらなかったものがある。


人が、人を運んでいる。


瓦礫の間を、

担架が通る。


布に包まれた小さな生命が、

次の手へ渡される。


「そっち、足元」

「ゆっくり」

「大丈夫」


がやがやとした声が、

空間を満たしている。



誰も全体を見ていない。

計画もない。


それでも、

落とさないようにしている。



地下では、

深層庭が静止している。


水路は流れない。

だが、乾いてはいない。


水守たちは、

これ以上変わらないように動く。



お姫様は、

水路の跡に腰を下ろす。


「……ユイ」


誰かが呼ぶ。


彼女は振り向かない。


「静かだね」


世界は、

滅びなかった。


ただ、

人類が世界を決める時代が、

終わった。


水の音は、

戻らない。


それでいいと、

誰も言わなかった。


それでも、

世界は続いている。



(完)

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水の音が止まるまで @ninicoi

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