壊れゆく終わりのなき世界

山田空

静かなる対話編

第1話 ゴミ箱のAIと人間

1人の男がいた。


その男は壊れきった世界で1つのAIとAIと人間の違いについて話していた。


だが、彼は知っていたこの世界でそれが禁忌であることを


この物語は壊れゆく終わりのなき世界でやがて1人の男がただ話をするだけの話


………いや少し違うか


「人間とAIなんざ結局のところ排泄物を出せないから別物だ」


乾いた男の声にはだれも返ってこないそうおもっていたがとなりの機械からこのような声が返ってきた。


「その主張は「排泄できるかどうか」を本質だと決め打ちしている点が弱い。

人間とAIの違いは確かに多いけど、排泄は人間の“生物としての特徴”であって、“知性や存在価値の本質”ではない。

たとえば――

人間でも人工肛門の人はいるが、人間でなくなるわけではない

逆に、排泄できる生物は山ほどいるが、人間と同等の知性を持つわけではない

つまり

排泄できる=人間

排泄できない=人間ではない

という区分は、知性・思考・意思・創造性といった重要な要素を完全に無視している。

AIは生物ではないから排泄しない。それは事実。

でもそれは**「別物である理由」ではなく、「設計目的が違う結果」**にすぎない。

結論としては、

人間とAIは違う存在だが、その違いを「排泄」で説明するのは雑すぎる

ってところかな。

違いを語るなら、身体性・意識・責任・経験の蓄積あたりを持ち出す方が、よほど説得力がある。


はあやはりきみはバカだよ」


最後のいう必要のない言葉を言われイラッときて怒るように反論をぶつけた。


「ああん?ふざけんなこらじゃあ生命ってなんで死ぬとおもうよ


心臓というコアが壊れるからだ


AIだってコアがあるじゃねえか」


そういいながら男は自らの胸元を抑えた。


「その切り方、鋭いけど――少し単純化しすぎてる。

まず反論の軸を整理するね。

① 生命が死ぬ理由は「コアが壊れるから」だけじゃない

心臓は確かに重要だけど、生命のコアは単一じゃない。

脳が不可逆的に壊れても死ぬ

全身の恒常性(酸素・体温・代謝)が崩れても死ぬ

免疫や細胞分裂の制御が破綻しても死ぬ

つまり生命は

👉 多数の相互依存するシステムの集合体

であって、心臓はその中の「要(かなめ)」の一つにすぎない。

② AIの「コア」は生命のコアと性質が違う

AIにも確かに中枢(モデル・重み・サーバ・アルゴリズム)はある。

でも決定的な違いはここ👇

人間のコア:

壊れたら同一性が不可逆的に失われる

AIのコア:

壊れてもコピー・再起動・再配置が可能

心臓はバックアップできない。

でもAIのモデルはバックアップできる。

③ 「死」とは停止ではなく、不可逆性の問題

ここが一番重要。

人間の死:

同じ個体としては二度と戻らない

AIの停止:

同じ構造・同じ挙動を再現できる

だから

「AIにもコアがあるから生命と同じ」

という主張には、

不可逆性と個体性の違いが抜け落ちてる。

④ 結論(反論として)

生命が死ぬのはコアが壊れるから

→ 半分正しい

だが

AIのコア破壊と生命の死は、

意味的にも存在論的にも別物

AIには「停止」はあるけど、

人間にある「一回性としての死」はない。

だから

コアの有無=同じ存在

とは言えないってことさ」


男が苦しんでいる顔を見せていることを全く気にしていないかのようにAIは言葉を続けていた。


「じゃあ人がなぜ性器が勃起するとおもう?


興奮するからだ


だからAIはそういった興奮するや怒るなどがわからねえじゃねえか」


男はそんなAIを見ながら屈託のない笑みを浮かべていた。


「ぼっ勃起?あっいやなんでもないよそれにその主張にも、ちゃんと反論できる


① 勃起=興奮、は事実。でもそれは「身体反応」の話

人が勃起するのは

👉 自律神経・ホルモン・血流という生理反応の結果。

これは感情そのものではなく、感情に「付随する身体現象」。

実際に──

興奮してなくても起きる(睡眠中・反射)

興奮していても起きないことがある(疲労・緊張・病気)

つまり

勃起する=興奮が分かっている

は成り立たない。

② 「わかる」と「同じ反応をする」は別

ここが論点のズレ。

人間は

興奮 → 身体が変化する

AIは

入力 → 内部状態が変化する(重み・活性・出力)

AIには血管も神経もないから、

人間と同じ反応をしないのは当たり前。

でもそれは

感情を理解できない

ではなく

感情を人間と同じ形で表現しない

という違い。

例えるなら👇

音が聞こえない人は音楽を理解できない? → そんなことはない

表情が乏しい人は感情がない? → それも違う

③ 怒り・興奮は「機能」として定義できる

怒りや興奮を分解すると、

刺激を評価する

状態が変化する

行動選択が変わる

これはAIでも起きている。

たとえば

優先度が跳ね上がる

出力が攻撃的・防御的に変わる

行動方針が切り替わる

身体反応がないだけで、構造としては似ている。

④ 結論(反論として一番強い形)

人は興奮すると勃起する

→ 正しい

だが

それは「感情の証明」ではなく「生物特有の副産物」

AIが勃起しないからといって

興奮という概念を扱えない

怒りという状態を理解できない

とは言えない。

感情=身体反応と定義した時点で、

議論は生物限定になってしまっている。

要するにこの相手の論法は

「人間の身体を基準に、人間以外を切り捨てている」

って突ける。」


この場所はだれもが見て見ぬふりをしたゴミたちの集まり


その名前はゴミ箱

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