第7話 『 飼う 』

 前述した通り、僕は子どもの頃から猫ばかりではなく、犬、鶏、キジ、牛(肉牛)など、様々な動物を飼ってきた。そして僕自身は完全なる「イヌ派」だと自認していたのだが、カイを飼ううちにその認識はどうも誤りであることを気づかされるようになった。

 例えば家に仕事から戻ると、何より先に女房に

「カイくんは?」

 と聞くし、暇な時にはいつも「カイくん」と手元に置いて喋りかけたり、撫でたり、おもちゃで遊ばせたりした。彼のお気に入りはポリエチレンの買い物袋と段ボール箱で、それが目の前にあるとカイは突如戦闘モードに入る。要は「穴ぐら」が好きなのだ。その奥に潜む何かにカイの神経は研ぎ澄まされ、そして満を持して突進していく。買い物袋の場合はそのまま自分がお持ち帰り状態になってしまうこともしばしばだったのだが…。

 その空回り気味の野生らしさが僕ら夫婦にはこの上もなく楽しかった。外見はどう見てもブーにゃんのオッサン猫が、ここぞとばかりに跳ね回る姿は僕らからすると、それでも子どもがはしゃぎ回ってるように映っていたのだ。

「カイくんは?どこ行った?」

 僕が帰る度にそう女房に訊くので、

「もう完全に親バカね」

 女房も呆れ半分、諦め半分でそう呟くのだった。

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