タヌキングが駅伝を語る
タヌキング
補欠にしてくれと言ったはずなのに
タヌキングはランニングが好きである。自分でペースを決めて決められたコースを走った後の達成感は何事にも代えがたい。
しかし、駅伝は別なのである。走る地獄と言っても良いだろう。どうしてタヌキングがそう思うか?その理由を話しておこう。
まずタヌキング、9月頃に会社の子から駅伝に誘われた。だが去年も走っているタヌキングは断固として断る。それでも中々誘ってきた子が折れないので、補欠なら良いよと言ってしまった。それにより驚愕の展開を見せることになる。
「人数多くて2チーム作ることになったからタヌキングさんスタメンでお願いします」
はっ?である。後に別に走りたい奴らを用意したわけではなく、強引に人を集めたことが分かり、タヌキングが策略めいたものを感じたのは言うまでもない。
こうして二年連続で12月の駅伝を走らされることになったタヌキングは、10月頃から憂鬱な日々を過ごすことになった。
そもそもタヌキングの年齢は36歳、言ってしまえばおじさんになるタヌキングを無理矢理に走らせるなんてどうなってるんだ?膝が壊れるぞ?などと考えながら駅伝用の練習を始める用意周到なタヌキング。インターバル練習に足腰と臀部のトレーニング、更に長距離ラン、駅伝特化のトレーニングに本番前に体が悲鳴を上げ始める。
正直に言えば走るだけなら問題は無いのだ。ただ走るだけなら余裕でこなせる。問題なのはギリギリを見極めながら走るということである。タヌキングが走る区間は2.36キロ、これまた微妙な距離でどのぐらいのペースで走れば良いのか?から考えなければならない、1キロぐらいなら全力疾走一択だが、2キロを超えるとそれでは走り切れない、下手すると死ぬかもしれないことも鑑みなければならない。
駅伝で最低限しないといけないことは、次にタスキを渡すOrゴールすることなのである。一人なら別にリタイアしても良いが、タスキを前の人から貰っている、次の人に渡さないといけないということから、リタイア出来ないという重圧がかかってくる。これも駅伝のしんどい所の一つだ。それならばペースを落として走れば良い、ジョギングぐらいのペースで良いだろ?と思う人もいるだろう。それは正しい。全くもってその通りなのだが、タイムを気にするとそれが出来ないのである。
駅伝には区間ごとにタイムが発表され、区間賞なるものも存在する。どうせ走るなら良いタイムで走りたいというのが欲深い人間である。タヌキングもその類の人間であり、2.36キロを8分35秒で走った去年を塗り替えたいと考えていた。目標は8分切ることに設定したが、それは高いハードルだと自分でも気づいていた。
長距離なんだから35秒ぐらい縮めるの簡単だろ?とか思う読者も居るかもしれないが、私からすれば2.36キロは短距離走である。死ぬほど長くてキツい短距離走なのである。タイムを数秒縮めるだけでどれほどキツいか去年で思い知っているのだ。だが走るからには去年よりタイムを下げるような情けない走りはしたくない。自分自身を裏切りたくない。緊張と不安と共に闘志がメラメラ湧いて来る、自分は根っからのランナーなんだと気付かされた。
次回に続く
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