昼明けの幽霊よ
なにか
序幕
夢は、かたちがある
夢は、人に見えない
夢は、きらきらしてる
そう言ってくれたのはおししょうさまだ。あの時、かあさんに森でおいてけぼりにされたときに拾ってくれたおししょうさま。
ぼくには夢なんてわからないし、持ったこともない。…たぶん。
でもまがおで『きらきら』とかいうおししょうさまが少しおもしろかったことはおぼえてる。
むぎばたけの中でおけいこをさぼってるとこ、おししょうさまに見られないといいけど。
そう思いながら本をめくってみる。かみさまの話だ。どうやらかみさまはこのせかいに『おくりもの』をしたらしい。きらきらしてて、ひとによってちがうかたちの、たからもの。
まるで
「夢みたい、でしょう?」
おどろいた。おどろいたひょうしに本をおとしてしまった。
おどろかせた本人は指をくちによせてくすくすとわらってる。いつもそれだ。その子のくせ。
うすいたいようみたいな色をした、ぼくの ? が本のページをめくる。
「この本、前も読んでたわね〜。神様のおくりものの話」
「うぅ…でもそれしかよむものないし、おししょうさまのおけいこ、つかれる」
ぱちりと、あおぞらみたいな目がまたたいた。それからにこりと笑った。ぼくのすきなかお。
「ダメよ〜♪お稽古は、ちゃんとやらなきゃ」
強くなれないわとその子は言ってくれる。すわりこむぼくに、手をのばしてそっとそえられる。まるでみちびきぼしみたいな子。
「さあ、行きましょう♪師匠も待ってるわ♪」
たいようにてらされた、小さなたいようがぼくの手をやさしく引いてく。
あたたかい、むぎばたけと、花みたいなえがお。
ああ、こんなまいにちが、ずっとつづけば
続けばよかったのに
視界が狭まる。呼吸ができない。黒い太陽が見ている。
なんで、どうして、わからない、何も
「ぁ、あ…、ッ、カヒュ」
ボタボタ、とナニカが音を立ててそのままくずれおちて消えて、消えてきえてく、きえていって黒い、肉が、液体をたれながすにくのかたまりがこっちをみて、見て?
ぼくに____私に星がまたたいた。
そして太陽みたいな子が首を括って死んでいた。
『Ladies and Gentlemen!開幕の時間だ』
『それはとてもつまらなく、それでいて面白いショー。』
『ポストクレジットまでぜひ、見ていってほしいものだよ。』
序幕 出演者
弟子A ----羊角の少年
弟子B ----???
???----???
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