第15話:外貨
ミランダ、作戦変更よ。
エミリーは 結婚破談の事は
それほど気にしていなかった。
女としてのプライドは やや傷ついたが
エミリーは 元々 ただ石炭が欲しかっただけだ。
今の機会を逃す事はないと 悪党顔になるのだった。
「フフフフッ 作戦Bよ。」
一方的に結婚破談をさせた ドルド国側が気まずい状況だった。
ミランダは 色々思う事があったが口には出さなかった。
(そもそも婚約もしていなかったので 婚約破談ですらなかった)
◆ドルド国王との接見。
では そのドルドの炭鉱がある山二つと
ダブレの港と「領土交換」をしたいと?。
王は髭を触りながら 考えた。
(これではエミリー殿側が一方的に損だ。 イヤ 炭鉱から金が出るとか?
そんな事はない あの炭鉱からは金は出なかった ではなぜ?)。
ドルドは石炭は火のつく 不思議な石と土産物として販売してたが
その真の価値を知らなかったのだ。
ドルド王は取り繕った笑顔を作り。明後日までに返答すると言ってきた。
エミリーとミランダは 深々と頭を下げ テントを出て行った。
翌日 ドルド国では 緊急の部族会議が開かれた
集められたのは 各部族の長たち
議題は ダブレの港を巡る問題
「あの小娘、何か企んでいるに違いない!」
「我ら山の民は、欲しいものはすべて持っている。海になど興味はない!」
誇り高い部族長たちは、エミリーの提案を「上から目線で生意気だ」と一蹴しようとした。
しかし、留学経験のあるゾト王子と、近代化を推し進める国王は知っていた。
自分たちが国際社会からいかに取り残され、脆い存在であるかを。
大半の部族長が反対する中、王と王子だけは「この話を飲むべきだ」と直感していた。
そして、再度 接見の日、 この時は、全・部族長とドルド王、ゾト王子も居た。
エミリーは、そら来たと、
薄ら笑いを浮かべ 言った。
では どうでしょう この条約、
「1年経って納得いかなければ 破棄できる条約にする」
というのは?。
ここまで 言われると 「ドルド民の幸福を最大化する」のが
ドルド王の義務だし、部族長達も同じだった。
つまり これ以上は反対している 誇り高き部族長達も
「反対できなくなったのだ」。
エミリーは条約を結び、帰りの馬車の上で、
体育座りで のどかな風景を眺めていた。
ミランダは、どうしても納得いかなかった。
ダブレ側が一方的に損してると思っていたのだ。
エミリー様、本当によろしかったのですか?。
あすこまでダブレが譲歩し、しかも 誇り高き部族長達が
こちらが1年かけて鉱山に投資したのにも関わらず
ドルド側が条約を破棄してきたら、マル損です。
ええっ 完璧よ。 あの人たちは 一年後に必ず、条約を更新するわ。
何故です?。
それは、彼らの絨毯を見たでしょ。
アレ 自分達では金貨1枚程度で部族同士で売りあってるのよ。
「同じ国の中で、金貨を回してもね
金貨の枚数は増えないのよ」
「でも港があれば
“外の国の金”が流れ込んでくる」
「するとどうなると思う?」
「金貨が増えるの」
しかも おそらく絨毯は外国には
金貨100枚から200枚、程度で売れる。
1年後、港をやっぱり返してって私が言うと ドルド国は嫌がる。
つまりね あの条約、私たちも 破棄できるのよ。
えっ ドルド国だけが 破棄できるのでは?。
エミリーは どす黒い 笑みを浮かべて言った。
何言ってるのよ。
それじゃ公平な条約にならないじゃない。
来年 わたし、ごねに ごねまくるわ。
あの くそ馬鹿 王子 ギッタンギッタンにしてやるわ。
(エミリー様は 意外と目に持つ人だった)。
しかも無駄に広い ダブレにある一番小さな港だった。
譲歩に譲歩させ、 めちゃくちゃ買い叩いてやるわ。
アーッハッハッハッハッハーーー。エミリーは アホ面で勝ち誇るのだった。
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