蝶喰み少女は絶望の声を奏でる
蕐鱶 詞祢
蝶喰み少女は絶望の声を奏でる
「普通のいつも通りの毎日を過ごしていたはず…だったんだ…僕はこんな、こんな蝶の飛ぶ部屋なんて知らない…」
この部屋に来る前の事。
僕はいつもの日常を暮らしていた。
忙しい仕事や私生活に追われる日々。
自らの思う理想の為、その実現の為に頑張っていた。
「休日なのにも関わらず休まずに家事しないといけない生活には本当に疲れるよ…」
そんな僕達を耳鳴りが襲う。
「なにこれ…、耳でもやったかな…」
それと同時に、どこか近くで鳴るサイレンの音が聞こえた。
「珍しいな、この近くには病院無いからどこかで人が倒れたか?」
ふと、何かを忘れている気がした。とても大切な何かを。
「なんかやり忘れてたような…家事とは別で何かしないといけなかったような…」
記憶を辿るがその正体は判明しない。
「僕が忘れるような事だ、どうせ大したことじゃないし、思い出したらやろう」
その代わり、何故だか僕には、このような強迫観念にも似た考えが浮かんだ。
眠ってはいけない、死ぬ気で起きろ。
その考えの訳も分からず、僕の思考は不安で埋まっていく。
「寝ないと明日の仕事に響くのに、何でこんな事が頭に浮かぶんだ?」
その不安故か、寒気のようなものが僕の背筋をつたう。
「11月後半だっていうのに冷えるな、暖房付けないとか…」
冷や汗をかいている僕の手は、何故か酷く冷たかった。
「うぅっ、寒っ」
そして、やらなきゃいけない事を思い出そうとしつつ家事をしていると、あっという間に時間が過ぎていた。
「結局何も思い出せずに夜になったな、ご飯作ってお風呂入って寝ないと…」
気怠げな体を頑張って動かして、湯船を洗い、ご飯を作り、食べ、湯船にお湯を張る。
「また明日から仕事か…憂鬱だな…」
お風呂の用意が出来た音が部屋に響く
「まあ頑張るしかないか、夢の為の1歩を確実に踏み出していかないとだし!」
洗面所で服を脱ぎ、お風呂場へ入り、体と頭を洗い、湯船へ浸かった。
「楽をする為に苦をするって言うけど、苦がでかいと楽の道に進む前に楽になりたくなるな…」
そうやってひとしきり独りでボヤき、湯船から上がり、体を拭き、頭をタオルで乾かしながら洗面所を後にする。
「さてと、服着て寝るか!あんな考えに沿ってちゃ明日ろくな事にならないだろうから寝てしまえ!」
そしてベットに入り、僕が寝ていると、突然強い頭痛によって起こされた。
「うっ…頭痛い………頭痛薬飲まないと…」
起きた時間は深夜3時頃。命の危険を感じるほどに、その痛みは激しく、鈍かった。
「中々酷いな…明日っていうか今日は休まないといけないかも…」
なんて今日の事を考えてると、体が勝手に、反射的に息を止めた。
何かガスのようなものが充満している。頭の痛みはこれが原因ではないかと、本能で僕は察した。
(ガスの元栓閉め忘れた!?いや…うちはIHだからガスなんて通ってないはず…)
原因を頭の中で探っていると足音が聞こえる。
知っている人間のものではない。誰かが侵入してきたのだろうか?
(マジか、こんな時に泥棒!?…警察……呼ば……ないと………)
そう思った瞬間、全身に耐え難い痛みを感じた。
その衝撃で意識を失いそうになる寸前に突然気付く。
背後から何者かに殴られたような感覚に。
とっさに頭を押さえた手に、べっとりと血が貼り付く、生暖かい血が垂れてくる幻覚すら見える。
垂れてきた?いや、視界が、赤く、眩しい。
全身が痛い。そうだ、血にまみれていたのは、手だけじゃない。
あれ?僕はこの町を、この家を、知らない。ここは、どこなんだ?
そんな思考が駆け巡った瞬間、僕は意識を失った。
そして目覚めると、僕は白い部屋にいた。
見覚えのないただただ白いだけの部屋。
家具は置かれているけど…そんなに映えたものでもない。
沢山の蒼い蝶が舞う、奇妙な空間だ。
「あれ、そういえば意識を失う前まで感じてた痛みも、傷もない?」
周囲を見渡すと、3、いや4人が倒れている。
「ん!?お前ら!!!」
「なんですかぁ〜………?」
「ん?ここは…?」
「朝からやかましい…」
「「「
そういえば自己紹介してなかった。
僕は
24歳の独身、自由を夢見ながら仕事してる社会人。
不思議な事に巻き込まれてて混乱しながら説明したり喋ってた。
「何で君がここに!夢見て上京したはずだろう?」
「そ〜ですよ!というかなんで委員長と兄貴もいるの〜!?」
「ていうお前こそなんで居んだよ!!!俺は家出てったってのに!!!」
「皆落ち着いて!一旦状況を整理しよう。皆名前は言えるよね?」
「何を言っているのだ、当たり前だろう!私は
「え〜と!
「んだこの茶番…俺は桂影
「ちゃんと記憶ある…皆はここにどうやってきたか覚えてる?」
「私は覚えていないな、家の手伝いをして、寝て起きたらここに居た。」
「うちはず〜っとお部屋で寝てたから分かんない〜」
「俺は飲みの帰りの夜道をほっついてたら後ろからぶん殴られてこのザマだ」
「共通点があるようでない…?」
「とにかく!考えていたって分からないことは分からないままだ。ここは一旦この部屋を探索しようではないか。何か手がかりがあるかも知れない。」
「さんせ〜です!」
「それが妥当だな。」
「そうだね…部屋を見てみよう」
そして、僕達が部屋を見ようと視線を向けた先にもう一人、見覚えのある姿が見えた。
「そういえば!もう1人倒れてた!!!」
「何っ!?」
「えっ!?」
「はぁ!?」
「あれって…天岼っ!!!!!」
彼は
「桂影さんのお兄さんは面識ありましたっけ?」
「長ったらしいな…源でいい。こいつは俺の後輩だから覚えてる。」
「てことは共通の知り合いが4人…」
「しかし、天岼君にしては見慣れない姿というか…似ても似つかないぞ?」
彼は虚ろな目をして床に倒れ伏し、力なく不気味な笑い声を上げ続けている。
「うひゃ〜…なんか不気味です〜………」
その姿は、まるで壊れた玩具か、人形かのように思える。
「天岼!名前言えるか?」
ハハッ…
「ダメみてぇだぞ。まともに喋って動けんのは俺ら4人だけってみてぇだ」
「嘘だろ…天岼!!!」
「やめたまえ!病人は大人しく落ち着かせておいてやれ。」
「だけどさぁ!」
「と、とりあえず〜!皆さん何か持ってますか!兄貴も!」
「「「…なんもない」」」
「えぇ〜…うちも何も無いのに〜…」
「天岼も一応何か持ってないか確認してみようか。」
「気は引けるが…非常事態だ、何かあったら借りるとしよう。」
「んじゃ探んぞ。」
「頼みます、源さん。」
「体は
「だが、何を話しかけてみても「ハハハハハ……」と暗く笑い続けるのみだ。」
「ダメだ、ポッケにはなんも入っちゃいねぇ。」
「ん〜?右手にスマホ握ってるよ!!!。」
「でかした夢芽、ロックがかかってるが…顔認証で開くことできんだろ。」
「源さん!?プライバシーは!?」
「皆白、今は緊急事態なのだ。電話借りるだけだろうし、今は気にするな。」
「開いたが…メモアプリが開かれたままんなってんな、なになに…?「少女は蝶を喰む。蝶は死に、命は潰える」だと?意味わかんねぇ、電話すんぞ。」
「ん〜?兄貴、画面真っ暗だよ?」
「ほんとだ、源さん電源切っちゃ駄目じゃないですか。」
源が電源ボタンを連打したり長押ししたりすると、見慣れた電池切れのマークが画面に映し出される
「違ぇ…充電切れやがった…」
「「「えっ?」」」
「てことは振り出しってこと…?」
「だな。」
「ですね〜。」
「不味いじゃん!」
ふと視界が一瞬瞬き、皆白の脳に記憶がフラッシュバックする。
この白い部屋に共に閉じ込められた友人たちと僕は旅行に行っていた。
次の瞬間、凄まじい衝撃があなたの全身を襲う。
赤い視界、薄れる感覚、それが僕の最後の記憶。
一体、僕達の身に、何が起こったのだろうか…。
「うっ…」
「大丈夫か?皆白」
「大丈夫、ちょっと立ちくらみしただけ」
「ならいいが…あまり無茶をするな」
「大丈夫だって!本棚から調べてみようよ」
ぽつんと置かれた本棚、木目が綺麗だ
小説や伝記などが主に入っている。
一般的なものと比べると、小さい本棚だが隅から隅まで本で埋まっており、相当な量だと一目見て分かる。
「ん〜、これ全部読みます〜?」
「んなもん時間の無駄だ、タイトルだけ見てちゃっちゃと分類してくぞ。男組、手伝え。」
「了解しました源さん!皆白、元気ならやるぞ!」
「分かったよ委員長。」
調べていくと一冊だけ、題名の書いていない奇妙な本があった。
中には、この部屋を飛んでいるものと同じ蒼い蝶の写真が載っていた。
「な、なんだこれは?皆白、見てくれ。」
「えーっと、なになに?」
「この蝶は人の希望によって生まれる。希望を抱き続ける限り、死ぬことのない性質を持つ。
自らの命と同等の存在であり、遠く離れれば生気が失われ、死に至る。白い彼岸花に集まる習性が――」
「なんだこれ、途中で切れてるし、意味が分からない。」
「つってもそいつが唯一の手がかり臭ぇぞ、こっちにゃ昔の偉い馬鹿共の話しかねぇ」
「こ〜ら!兄貴、偉人様達にそんな事言わないの〜!」
「皆白、他は何か書いてないのか?」
「んー、後は白紙だ…」
「てことは振り出しか…」
そこには何も書かれていないはずなのに、源の目が勝手に何かを追っていく。
「あ…?なんだ???」
不思議そうにしてる源を見ている皆白の脳に、記憶が、感情が、フラッシュバックする。
叶えたい夢の為、自分の理想の為に、一心不乱に努力する天岼の背。
僕は彼のようになりたかった。
あんな風に懸命に努力できる人間に。
けれど、ああはなれない。
なれるはずがない。
そう諦めていたのは、僕だったじゃないか。
そう叫びそうになったところで、意識を取り戻した。
「皆白?大丈夫か、顔色悪いぞ」
「…ご、ごめん、大丈夫だから!」
「皆白くん〜大丈夫?ちゃんと休んでね〜!」
源の方も気が付けば、最後のページまでたどり着いていたようだ。
「あ、んだこれ…?」
初めは何も書かれていなかったはずだが、見つめているうちにこのような文が浮かび上がってきた。
「――の絵本を読み、――を――」
「おい、お前らこれ見えっか?」
「あれ?書いてなかったはずの文章がある!」
「むむ…これは不思議が深まるぞ…」
文章を読んだ夢芽の頭に映像が映る。
壊れたように笑う天岼の姿が、一瞬、自分自身の姿に見えた気がする。
夢も理想も、勝手に諦めたのは夢芽の方でしょ?そんな風に語りかけられた気もした。
「!?」
夢芽の息遣いが荒くなる
「夢芽、大丈夫か?」
「僕と同じような感じがする…」
「皆白といい、桂影といい、君達大丈夫か?」
「「大丈夫」」
「な、ならいいんだ、すまない」
「そういえば〜絵本ありましたよ〜。読みますね〜!」
少女が森で迷子になってしまう、という話のようだ。
最後は突然現れた妖精に、持ち主の行きたい場所を指す「花のコンパス」というものを貰い、それで無事に家に帰れてめでたしめでたし……と、話は締めくくられている。
「なんの意味があるんだ…?」
「さぁ、私にも分からんぞ?」
「分かんねぇこたぁ後回し、次調べんぞ。」
「なら〜、うち花瓶調べた〜い!」
部屋に溶け込むような白色の花瓶だ。
その中には様々な白い花が集められている。
「あれ?色々な花があるのに1つの花にしか留まってないよ?」
「本当だ、皆白の言う通りだ!」
「何の花だこれ…?」
「ん〜、彼岸花じゃん〜!」
「白い彼岸花と言えば…天岼が好きだったよな?皆白。」
「そう、あいつの好きな花だ…でもなんであいつの好きな花なんだ?」
「んでも、そんくらいしか情報ねぇな、次行くぞ。」
「え〜!うちまだお花見てた〜い!!!」
「てめっ、暴れんな!クソ妹っ!?」
夢芽と源が取っ組み合いをしていると、源の身体が花瓶に当たり、倒れ、花瓶が割れた。
その割れた花瓶の中から、コンパスが出てきた。
「このコンパス、さっきの絵本で見たような気がするぞ?」
「本当だ、というかそのままのやつじゃない?」
「お前ら…冷静に分析してねぇで、俺を助けろ…」
「ご、ごめんなさい!」
「馬鹿兄貴ですね〜!」
「んだごら、もっかいやるか?」
「ちょっと!喧嘩はやめてください!コンパス調べますよ!」
所々に花の模様が入ったコンパスだ。
針は、何処ともしれない方向を指し続けている。
「なんだこいつ、磁気でもイカれてんのか?」
源が手に取るととある人間の方に針が強く向く。
「あ゛?向き変わったぞ…?こいつが指してんのは…皆白…?」
「僕!?」
「お前か真犯人!早くこっから出しやがれ!」
「ちょっと待ってください!誤解ですって!」
「源さんの言いたいことも分かるが…皆白が犯人の場合、天岼を手にかける意味が分からないぞ。」
「ん〜、というか一緒にぶっ倒れてて〜、謎に苦しんでるなら違うと思うよ〜?」
「けっ、意味が分からん…」
…カランッ
「ん?源さん、何故コンパスを落としたんです?」
「あ゛?俺はしっかりポッケん中入れたぞ?」
「兄貴〜、ポッケに穴でも空いてるんじゃないの〜?」
「な訳ねぇ、新品のズボンだ。」
コロコロ…
コンパスが一方的に針が向いてる皆白のもとへゆっくり転がっていく
「皆白の方に転がっているぞ?」
「じゃあいい、皆白が持て。お前に引かれてんだからお前の所有物なんだろ。」
「僕こんなの持ってないどころかコンパスなんて小学校の理科で使ったくらいですよ!?」
「まあいいではないか、皆白が持っていた方が良さそうな気もするしな。」
「委員長まで…分かりました。僕が持ちますよ。」
「そういえば〜、蝶観察してないね〜?」
「確かにな、調べてみっか。」
「わ、私はやめておく!虫は嫌いなんだ!」
「だとしたらお前、この部屋に居る時点で終わってんじゃねぇか?」
「皆の前だから我慢していたが…観察は無理だ!」
「委員長そういうと思ってたからいいよ。端っこで大人しくしてな。僕達でやるからさ。」
「見た目だけは普通の蝶だが…なんか気味悪ぃな。」
「兄貴って虫嫌いだっけ〜?」
「いや、俺は大丈夫な方なんだが…この蝶は好きじゃねぇ感じがする。」
「僕も同感ですね…」
「なんか腹立つな…憂さ晴らしに1匹殺すか。」
そういうと、源は蝶を1匹、手の中に収める。
「兄貴〜!?命大事にだよ〜!?」
「ちょ、源さん!駄目ですって!」
…グチャッ
聞こえるか聞こえないかくらいの音で小さな命が潰れたその瞬間。
「う゛っ!?」
源が急にうずくまる。
「兄貴!?」
「源さん!?大丈夫ですか!?」
「な、んだこれ…胸がっ…」
「委員長!来てくれ!」
「どうした皆白!」
「源さんが急に倒れたんだよ!」
「何っ!?見過ごせん!大丈夫か源さん!」
「う、る、せぇ…兎崎、肩借せ…」
「分かりました!」
「ちょ〜っと〜?兄貴休みな〜?」
「大丈夫だ、時期になんとかなる。どうせ昨日の反動が今来ただけだ。」
「心配だな…どうする?皆白。」
「大丈夫って言ってるならそのまま探索を続けようか。どうせ見て回るものもあと一つしかないしさ。」
「でも〜、ここまでまともな手がかり無いよ〜?」
「それはそうなんだよな…でも、鉄扉の周りになにかが必ずあると思う。見た目がこの部屋に合ってなさすぎるんだよ?」
「なら調べてみよう!私と源さんは見学しているがな!」
「うるせぇぞ、ガキ。俺は大丈夫だっての。」
「分かった、じゃあ頼むよ。」
「無視してんじゃねぇ!」
白い部屋の中では異彩を放つくらいにどっしりしており、かなり重厚感のある鉄扉だ。
「鍵が外からかかっているな…道具がない今だと、どうあがいても破壊できない。」
「小窓が上下に3つも付いているとは珍しいタイプだな。どの身長の人間でも小窓を覗きやすくなっている。」
「本当だ〜!背が低いうちでも見やす〜い!」
「肩借りてても十分見えるな…」
外を見ると夕暮れの様に赤く染まる空に真夏の昼を照らすような太陽の日が差した不思議な森が広がっている。
「これは綺麗だな!」
「唯一の癒し空間だね。」
「おいお前ら、情報探せ。こっちは肩借りてて探せねぇんだぞ。」
「でも〜?何も無いよ〜?」
そんな会話をしていると、また視界が一瞬瞬き、僕の脳に記憶がフラッシュバックする。
どこか見慣れない一筋の光が輝く部屋で、意味の分からない装飾品をつけられ眠らされた。
そんな短い記憶の裏で、あの時聞いた知らない人間の足音と焦ったような話し声が聞こえる。
「…また強盗!?」
「また…?強盗…?急にどうしたんだ皆白?」
「いや、大丈夫、何でもない。」
「さっきからおかしいぞ皆白!」
「本当に大丈夫なんだってば!」
「そんなことより〜、なんか疲れました〜…」
「夢芽の言う通りだ…なんか異様に疲れたぞ…」
「ちょ!?夢芽!源さん!どうしたんですか!?」
「すまない、皆白、私も同じだ…」
「皆!?大丈…夫……?あれ…?僕もなんか疲れ…が…」
一通り部屋を見切ると、僕らは酷い疲れに襲われてそのまま倒れこんでしまった
あれ、どうしたんだ…?
こ、声が出ない!?嘘だろ!?
などと不思議に思っていると「「バンッ」」と勢いよく鉄扉が開く。
鉄扉の方を見るとぐちゃぐちゃの長い髪を持つ血をつけた少女が立っている。
少し間が開いた後「ただいま!」ずさんでかすれた大声で少女が叫ぶ。
「おやつ!おやつ!」と部屋を無邪気に駆け回る。
地味に揺れる床のせいで頭にじかに振動が来て気持ち悪くなってく。
そして少女は、とあるものに手を伸ばし口に入れ始める。
彼女が食べているのは青い蝶だ。
そして同時に本の内容が頭の中に駆け巡る
「この蝶は人の希望によって生まれる。希望を抱き続ける限り、死ぬことのない性質を持つ。
自らの命と同等の存在であり、遠く離れれば生気が失われ、死に至る。」
しまった!あれは僕らの希望を具現化した蝶だったのか!
そんなこともお構い無しに少女は蝶を食べていく
やめろ!それは僕らの希望だ!!!
抵抗しようとするが体は動いてくれない、されるがままに喰いつくされていく。
更に嫌な予感が走る。
そういえば源さんが蝶を握りつぶした時…苦しんでた…
ま、まさかっ!?
その事に気づくと同時に全身に痛みが走る
苦しい、このまま生かされるくらいなら死にたいくらいに辛い。
あぁ、このまま終わってしまうのか…視界が…白い光に飲まれていく。
「この蝶は美味しくないや、要らない」とかすれた声で呟くのが聞こえたと同時に意識が途絶えた。
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