第17章 雨に誓う決意
雨は強く降りしきり、窓や屋根を叩く音が絶え間なく響いていた。美咲は秘密の小屋で雨音を聞きながら、雨斗を待っていた。胸の奥に、期待と緊張が入り混じる。
「雨斗……来てくれるよね?」小声でつぶやく。
廊下から現れた雨斗は、いつもより真剣な表情をしていた。「美咲、今日は重要な決断をしなければならない。君にも覚悟してほしい」
「決断……?」美咲は息をのむ。
雨斗は小屋の外を指さす。「あの雨の日の影――僕の過去に関わる者が再び現れた。僕は彼と向き合わなければならない。でも、君と一緒なら乗り越えられる」
美咲は少し怖さを感じながらも、雨斗の手を握る。「雨斗、私、どんなことがあっても一緒にいる。離れない」
雨斗は深く頷き、微笑む。「ありがとう。君の存在が、僕に力をくれる」
雨の小道を歩く二人。水たまりを跳ねる音、雨音に混ざる心臓の高鳴り――すべてが試練の舞台となる。
影が近づく。以前現れた少年の瞳は冷たく光り、雨斗を試すように立ちはだかる。
「お前は、本当に変わったのか?」少年の声は雨音に負けず、強く響いた。
雨斗は力強く答える。「変わった。孤独だった僕はもういない。今は美咲と一緒にいる――その絆が、僕の力だ」
美咲も少年を見つめ、決意を示す。「私も一緒にいる。怖くても、雨斗と離れない」
雨斗は彼女の手を握り返す。「ありがとう。君といる時間が、僕の力になる」
少年は一瞬ためらい、雨音が激しく響く中で沈黙する。二人の絆が生み出す力を感じ取り、やがてゆっくりと頷いた。「……分かった。お前たちの絆には逆らえない」
雨斗は深く息をつき、美咲に微笑む。「終わった。もう怖くない」
美咲も笑顔を返す。「うん、雨斗と一緒なら、怖くなかった」
雨の中、二人は手を握り合い、歩き出す。水たまりに映る二人の影が揺れ、雨音が祝福するかのように響く。過去の影は消え、雨の日の特別な時間だけが二人の世界に残った。
「雨斗、これからも一緒にいようね」美咲は小さくつぶやく。
「もちろん、美咲。君といる時間が、何より大切だから」雨斗の笑顔が雨に溶けるように優しい。
雨音に包まれた午後、二人は確かな絆を胸に、未来への一歩を踏み出した――雨の日の約束を胸に抱いて。
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