第13章 雨の中の決意

雨は激しく降り、風に混ざって小道を打ち付ける。美咲は雨斗の手を握りながら、一歩ずつ前に進む。


「大丈夫かな……本当に、私たちで乗り越えられるのかな」美咲は小声でつぶやく。胸の奥がざわざわと不安でいっぱいだった。


雨斗は静かに振り返り、彼女の目を見つめる。「大丈夫。君と一緒なら、僕は強くなれる。だから、怖がらなくていい」


美咲は深呼吸し、うなずく。「うん、信じる。雨斗と一緒に」


雨の中、二人は過去に関わる少年のもとへ近づく。少年の瞳は冷たく光り、雨斗を試すかのように立ちはだかる。


「お前は変わったのか?」少年の声は雨音にかき消されそうになりながらも、強い威圧感を帯びていた。


雨斗は力強く頷く。「変わった。君のせいで孤独だった僕は、もういない。今は、美咲と一緒にいる――それが僕の力だ」


美咲も少年を見つめる。胸が高鳴るが、恐怖ではなく覚悟と信頼が混ざった感情があった。「私も、雨斗と一緒にいる。怖くても、離れない」


雨斗は彼女の手を握り返す。「ありがとう。君の存在が、僕の力になる」


少年は一瞬ためらい、空気が静まり返る。雨音だけが二人を包む。雨斗と美咲の絆が、静かだが確かな力を生んでいた。


「分かった……お前たちの絆には、もう逆らえない」少年は視線を下ろし、ゆっくりと立ち去る。


雨斗は深く息をつき、美咲に微笑む。「終わった……もう大丈夫だ」


美咲も笑顔を返す。「うん、雨斗と一緒なら、怖くなかった」


雨の中、二人は手を握り合いながら歩く。水たまりに映る二人の影が揺れ、雨音が絶え間なく響く。過去の影は消え、雨の日の特別な時間だけが二人の世界に残った。


「ねえ、雨斗……私、やっぱり言いたいことがある」美咲は少し照れながらつぶやく。


「何?」雨斗は優しく微笑む。


「一緒にいてくれて、ありがとう。雨の日も、雨斗も……大好き」


雨斗は笑顔で頷き、そっと美咲の手を握る。「僕もだよ、美咲。君といる時間が、何より大切なんだ」


雨の午後、二人の心は確かに重なり、雨音が祝福するかのように静かに響いた。

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