語り手である「私」と「しおりちゃん」が初めて会ったのは、もう何年も前。
歳は五つほど離れているが、誕生日が一日違いというのがきっかけで仲良くなった。
それからの二人のことを、「私」はただ淡々と、凪いだ水面のように語る。
ひとつひとつ順番に思い出を追いかけながら、読み手は彼女たちのドキュメンタリーフィルムを観ているような気持ちにもなる。
どれだけ仲良しだったとしても、環境が変わると、人はだんだん疎遠になる。
嫌いになったわけではない。
ただ生きる場所が変わっただけ。
「私」はそれを悲しんだりも、怒ったりもしない。
「仕方のなさ」に宿る寂しさをそっと抱きしめるように、流れる川面を見つめるように、ただ静かに――思う。
気付けば息をひそめるようにして読んでいました。
読み終えたときの心の震えを覚えていたいと思いました。