第3話 イン・ザ・サウナ
「サウナに入ろうか!」
「へ?」
「小学校で蚕の勉強しなかった?」
「しました。もしかして茹でるって事ですか?」
「その通り!茹でるのには六、七十度いるからね。サウナじゃ無いと無理なのよ。なので悠真くんにはたっぷりとサウナに入ってもらいます。」
「はぁ。」
「お母様には別の先生から今後について説明があるのでこのままお待ちください。」
「あっはい、分かりました。」
そう言って先生にサウナ室まで案内された。
病院にサウナってあるんだ……。
脱衣所に着くと伊織も服を脱ぎ始めた。
「えっ、先生も入るんですか?」
「いや、うん。繭の状態見なきゃだし。」
「そっうですよね。すみません。変な事聞いて。」
「全然平気平気。びっくりするよね、初対面の主治医とサウナって。まぁ、気楽に。」
「すみません……。」
「えっ。」
服を脱いだ先生の胸には色が変色して、膿んでいて赤黒い、正直グロい、クレーターのような傷があった。
「これグロいよね、自分でもそう思う。」
そう言って先生はタオルで隠した。
「俺もね、宿り蟲に寄生されたんだ。それでさ、その時自分で繭を切ったら、この有様。だからちゃんと治療しようね。大丈夫、きちんとやったらこんな風にならないから。ね?」
「はい。」
「あつー。」
サウナの中は非常に息苦しかった。
「そりゃそうよ。今茹でられてるようなもんだから。」
そう言われて階段に並んで座る。
「あと言っておかなきゃいけないんだけど、俺まだ学生なんだよね。今臨床実習中。」
「なんかやけに若いなって思ってました。」
「だよねぇ、実際に病気に掛かってるし、これをさ研究してるから。でも多分世界一、宿り蟲のこと知ってるから安心して。まぁ、病気のことはこの後説明するよ。」
「ありがとうございます。」
「あー、あと敬語使わなくていいから。本当に気にしないで。」
「あっはい、そのうち。」
「そのうちね。」
「そろそろ出ようか。悠真くん。」
「あっ、はい。」
「じゃあ、これから水風呂入ってシャワー浴びようか。」
俺は水風呂に片足を突っ込んだ。
「ぎゃぁああああああああああ。」
「あははっははあっははは。」
初めての水風呂は冷たすぎて死ぬかと思った。
シャワーを浴びて髪の毛を乾かした後、
「じゃあ今後について話すね。」と言われた。
「その繭が身体から生えてきた症例は現在世界でもまだ三十件程しかなくて、分かっていることが残念なことに少ないんだよね。だから害があるとは言い切れない。かといって無害であるとも言い切れないんだけど。」
「なっるほど。」
「まだ研究どころか、そもそも知られていないというのが残念ながら現状。でも、この病気に罹った方で亡くなった方はいらっしゃらないから。」
安心した。
「こういうのを聞くと安心するよね。で、治療法についてだけど、今、中の蟲を高温で殺したからあとはこの繭を取り除くだけ。それでもし繭が皮膚を貫通していると胸部を複合しなきゃいけないんから胸に縫い傷が出来るかもしれない。でもそうすれば完全に取り除くことが出来るから。」
「いや、むしろそのくらいで済んで良かったです。」
正直もっと身体抉るかと思ってた。
「そっか、まだ中身の状態を見ていないので何とも言えないけど。もし羽化したり、中身が生きてる状態で手術をすると取り返しがつかないので先に殺させて頂きました。本当ごめんねぇ、来て早々サウナって。」
「なるほど。」
いや怖っ、こぉんわ。俺は鳥肌が止まらなかった。もう唐揚げになっちまうよ。
「あっ、流石に手術は本物の医師がやるからね。安心して。その繭の糸を取り除くの本当に大変だから。」
“ ガラガラッ “
「先生お話終わりました。」
そう言って母がこの部屋に入ってきた。
「じゃあ今日のところはこれで。」
「本当にありがとうございました。」
母が深々と頭を下げる。俺も
「ありがとうございました。」
とjapanese90度お辞儀をした。
「あとはお母様に話しておいたから、取り敢えず今日は疲れてると思うのでゆっくり休んで。」
ホテルに着いた頃には、時計の針は既に今日を終えていた。
宿り蟲 @Dzhsz
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