第2話 セカンド・チャレンジ・ミッション
…3月21日(土)…A M 9:32…
「…アドル艦長、出航完了しました…」
チーフ・センサーオペレーターのカリーナ・ソリンスキーが告げる…オペレーター・シートはブリッジの中央上方に天井から3席が吊られていて、カリーナの席は真ん中で1番高い位置にある。
「…うん…センサーはオールレンジでパッシブスイープ…その後、ゲーム・フィールドをアップデートしてくれ…それからシークレット・チャンネルを通じ『同盟』僚艦に於ける出航と現在位置の確認を頼む…」
「…了解、掛かります…」
「…艦長、今回のフォース・ゲーム…チャレンジ・ミッションが発表されるのでは? 」
副長のシエナ・ミュラーが左隣の副長席から訊く。
「…ナンバー・ワン…その可能性は高いね…まあ、待ってみようか…」
そう言って立ち上がると、後ろ右側のドリンク・ディスペンサーにコーヒーをホット・ブラックで出させ、ソーサーに乗せて戻る。
「…フィールド・アップデート完了…今回のフィールドは、これまでで最大です……ファースト・ゲームに於けるフィールドの5倍以上です…」
カリーナ・ソリンスキーの報告を受けて首を傾げる。
「…そんな広さにしたって事は他艦に出遭わせない為だから、ますますチャレンジ・ミッション発表の可能性が高くなったな……ハル参謀…シークレット・チャンネルを通じて、チャレンジ・ミッションが発表されたら参加するようにと通達を出して…」
「…分かりました…」
コーヒーを飲み干してソーサーとカップを片付けて戻った頃合いで『運営推進本部』からの通達が、全参加艦に向けて発せられた。
「…艦長! 『運営推進本部』から参加全艦に向けて通達です…チャレンジ・ミッションが、発表されました! 」
「…分かった。内容を読んでくれ…」
「…読みます…『救難信号に対処されたし』…以上です…」
「…カリーナ…それだけか? 」
「…はい…これだけです…」
「…そうか……副長…今回のチャレンジ・ミッションは、それぞれが違う内容になるだろう…対応に苦慮して意見を求めたくなる可能性が高くなると思われる…シークレット・チャンネル内にマルチ・タスク・コミュニケーション・ネットワーク・チャンネルを更に設定して、いつでも直ぐ相談ができるようにしよう…」
「…分かりました。直ぐに設定します…」
「…『同盟』参画僚艦の出航状況を頼む…」
「…現時点で出航完了しているのは、19隻です…」
「…会議室『GFDSC 27』に、出航を完了したらシークレット・チャンネル・フィードを確認するように書き込んでくれ…」
「…分かりました…」
…ほぼ同時刻…医療部…研究室…
「…ドクター・アーレン…これが例のデバイスですか? しかし観たところ……」
「…ええ…ドクター・エフライム…確かに1見する処だけでは、普通のオーヴァー・ヘッドセット・マウント・テクニカル・ディスプレイズド・ヴァイザーに観えるでしょう…ですがこれはつい最近、医療施術業務の為に特化して実用化された…医療行為専用ヴァイザーなんです…しかも私はリーア・ミスタンテ機関部長に依頼して、これのウェアラブル・データリンク・パケットポートをこれの起動直後から、『ディファイアント』メインフレームの医学・医療データベースとフル・リンクするよう、設定して貰いました…なのでこれは…おそらく初めての…最強医療ヴァイザーなのです…」
「…それは、凄いですね…これを装着して使用すれば、初見診察から診断…処置内容…治療手順の決定まで…」
「…ええ…おそらく、15秒も掛らずに終わるでしょう…」
…『ディファイアント』・ブリッジ…
「…艦長…全艦、出航完了しました……チャレンジ・ミッションについても、認知したようです…」
「…分かった…副長、チャンネルの設定は? 」
「…そちらの設定も出来ました…」
「…了解…それじゃ、チャレンジ・ミッションへの参加を表明してくれ…」
「…了解…参加表明を送信します…」
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