迫る怪異は百合でぜんぶ祓おうと思います
千秋 パル
プロローグ
幼なじみが死んだ。
即死だったとあとから聞いた。
彼女に向かって車が突っ込むのを見ていた他の人たちが駆け寄ってくる。
然るべきところに連絡するよう指示をする人や、心臓マッサージを試みる人、あたりは騒然としていた。
そんな光景が繰り広げられる中、私の脳は理解を拒み続けた。
文字通り頭が真っ白になるというやつだ。
対して、私の視界には血まみれで横たわる彼女の姿があった。
皮肉なほどに、鮮やかな赤だった。
お葬式のことは、断片的にしか覚えていない。
線香の喉の奥にへばりつくような甘ったるい匂い。
遺影の中で見たこともないほど澄ました顔で笑う彼女。
私の手を取り、震える声で「仲良くしてくれてありがとう」と泣き崩れる彼女の両親。
自分の感情の行き場はずっと迷子のまま、式は過ぎていく。
泣くべきなのに、泣き方を忘れてしまったみたいだった。
ただ、最後の最後。棺桶の中で眠る彼女と対面した時、全てがあふれ出した。
「私を置いていかないでっ! ずっと一緒って約束したじゃんっ……」
喉が焼けるほど絞り出したその言葉が、あの子を縛る最悪で最高の「呪い」になるとも知らずに。
……まあ、その呪いのせいで、あの子が「死んでも離れない(物理)」激重幽霊になって戻ってくるなんて、この時の私は知る由もなかったんだけど。
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