和歌述懐

  和歌述懐


けふの日のわが身のうへをきぞの日にたれかはそれとのぞみたりけむ

けふの日のわれはいかなるあすの日のいかなるおのが身をのぞむらむ

あすの日のわが身のうへのけふの日のねがひにたがふのみぞたがはじ


授業ワザ了へて渡り廊下を渡り行くむらさきに燃ゆるゆふぞらのもと

うつむきて慙ぢつつゆけばまばゆくもプールの面に映ゆるゆふ雲

つらつらとおもへばわびし子らゆつも欲りせぬわざを強ひて世をすぐ

をしふべきなにを持つとてみづからを師ととなへつつ世をわたるらむ

あさましき身をかへりみずたかだかとひとををしふるわざのいやしさ


さしもあつき憎しみの冷えゆけるときひそけくも凝るあをきかなしみ

泣かじとてそのかなしみをひとつごと砕けばいよよかなしかりけり

かなしみをみておのづと成る酒のそのあぢはひのいと酸くもあるか


ただひたにおし照る夏のの下のミチのしじまをただひとりゆく

夏のらす畷のただなかをあゆむか隠るべき隈もなく

夏ののたけき御稜威ミイツに身をサラしつつあゆみゆくときのよろこび

天津日のいとおごそかにらすらくナレがのぞみをなべて絶つべし


おほかたはよにもはかなきそらごとをうつつと思ひなして世をすぐ

そらごとをうつつと思ひなせばこそからくすぐさめいとど憂き世を

まぼろしのげにぞはかなきさりながらそのまぼろしのひとをささふる


わがこころうつろのごとくあるはまた見えざるもののつるがごとく

なにものと名こそはわかねなにやらむはげしきもののちきたるらし

はつかなるこころのいろのかずほどのことのはのかずのあれかしと思ふ

あはれかの虹のごとくにうつりゆくこころのいろをいかにとどめむ

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釈迢憲先生作品集 吉田隼人 @44da8810

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