卵を喰らう人
無雲律人
第1話 アイドルの卵
「じゃぁ有賀P、絶対に絶対に曲書いてよね。お願いね♡」
「あー、はいはい、分かったよ」
俺は有賀太郎。三十歳。今乗りに乗っている作曲家だ。今日の性欲解消の捌け口はアイドルの卵であるひなち十八歳だ。
俺はてきとーにひなちにタクシー代二万円を渡すと、ホテルの部屋から追い出すように彼女を追い払った。ヤる事をヤッたらこんな駆け出しのアイドルに用はない。もちろん曲なんて書いてやらない。こいつらとの情事はただの遊びでありスポーツみたいなものだ。
「明日は誰に声を掛けようかな~」
LINUに登録されているアイドルの卵の一覧を見ながら品定めをする。みんなアイコンは盛りに盛った自分の顔写真だ。
こいつらだって、アカウントは複数持っていてこれは営業用のものだろう。俺のしている事を鬼畜だと罵る奴もいるが、彼女達だって俺に曲を書いて欲しくて近寄って来るんだ。俺の事が好きなわけじゃねぇ。なら、お互いにそれを利用し合って何が悪いって言うんだ。
この五年で多分俺は二百人くらいのアイドルの卵を食って来た。気に入った子は何度も呼び出した。その度に曲をせっつかれるが曲を提供してやった覚えはない。でも俺の悪評は立たない。だって、彼女達は結局あちらこちらで枕をしているから、最終的に心身を壊して業界から去って行くのだから。
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