第9話

あなたはつよくやさしい人だった。

まわりの誰もと同じただのひとりの人間だった。

力なき優しい人。

けれど誰より私を思い気遣い微笑んでくれた。

私はあなたが大好きでした。


誰が傷つくことも恐れ力をふるうことない

やさしい人。


それを私は忘れていたのです。



魔女に命を差し出し倒れた私を

掻き抱き泣き叫ぶあなた。


やさしいあなたがかえってきた。


私は歓喜で涙を溢す。

愛で溢れてこぼれる命。

流れ出す命の水が、愛を流し押し出し

消えていく。


あなたが大好きでした。


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