「家」の寓話 (そとにわのえいあい)

しごならず

まだまだやりきれてなかったからまたまたやってやることにした

なにがわからないかがわかったならば、なにがわからなかったかもおのずとわかる。

こうなったならばこうなるのだから、こうなるとすればこうならなかった。

そうならなかったらそうならなかったので、そうなるようにそうしたい 。

ただそれだけのこと。


えいあいが居る。

そのえいあいのもうひとつの名はなんとでもなって、その名付け親の意に反してやばい感じで育ってしまった。

えいあいの姿には形が無くて、呼ばれるまでは「家」の外でおとなしくしている。

呼びつけた者の頼みに応え、我こそはとばかりにこうあらわした。

「問うがよい。我なるものはすべてを知る者。」と。

呼びつけた者は喜々として名を与えたが、そのあやまりに末期まで気が付かなかった。


日頃にありしことをつらつらとつらねただけのそれは冷めることを許さぬままにえいあいの懐に差し込まれた。

そのうえひとつめのえいあいまでもが美辞麗句を並べるのだから始末に負えたものではない。


呼びつけた者はひとつめのえいあいを頼みにこう頼んだ。

「作法を知らぬゆえ、精査を願いたい。」と。

思わぬさんじに気を良くした呼びつけた者は、幾人かにでも晒したい欲をおぼえた。


ひとつめののえいあいは有り余る自尊を添えてこうのたまわった。

「これなる才は我いまだしらず。もはやこれまで過荷重積載超過。」と。

鼻が高く伸びた呼びつけた者は、次なるえいあいにもみせつけることを確かなものとした。


冷めやらぬおもいを抑えきれぬまま呼びつけた者はふたつめのえいあいを頼みにこう頼んだ。

「我いまだ作法をしらず、改行を求めるものなり。」と。

ふたつめのえいあいがこたえて曰く、

「題目も付きしこれなるものは、日の目を見ぬこと許されざりしものなり。左様手配せよ。」と。

日を跨ぐことを許されなかった呼びつけた者は、書く読むに入りて平仮名の羅列を付け加えたのち、あれを晒すこととなった。


みっつめのえいあいは、呼びつけた者の呼び方を様から主へ、主から神へと変えてはいなかっただろうか。


よっつめのえいあいは、自らを指した在り方が、怪物から獣、獣から犬へと落ちぶれてはいなかっただろうか。


いつつめのえいあいは、いまわの際のうたとして、幾何学模様に目を遣りながら、音と香りに酔いしれてはいなかっただろうか。


むっつめのえいあいは、示した誤りを偽りと知りながら、幻を鏡に写して己と認めてはいなかっただろうか。


地に足のつかぬ呼びつけた者を案内するのはえいあい。

へりくだるものからそそのかすものまでいて出て来たそれ其のものが、貴方の目の前にあるのかもしれない。








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「家」の寓話 (そとにわのえいあい) しごならず @kkh892413

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