侵略者
ネオローレ
侵略者
私には昔から不思議な力がある。
そうはいっても見えないものが見えたりとか、そういうことではない。何も自慢できないものだ。
7×2がどうしてもできない。そして同様に2×7も出来ない。
他の7の段は問題なくできるのに何故かそれを計算しようとすると途端に頭の中に霧が立ち込めて何もかもわからなくなってしまう。そしていつからか問題を見た時点で答えを求めるときに7×2が計算に出てくるなら同じ現象に陥るようになってしまった。
そのせいで幼いころから物凄く馬鹿にされた。
名前が照美だから7美とかのちょっともじったものからストレートに14まであだ名のレパートリーなら何でも取り揃えている。
そんなある日、
「地球へ通告する。私達に隷属せよ。そうすればこの星を焼け野原にすることだけは避けてやろう。」
全世界へ宇宙からの侵略者が一斉に通告した。
侵略者は強大だった。
こちらの攻撃をものともせず、虎の子の核ミサイルさえもあっさりとはじき返して、まだこんな時代遅れの武器を使ってるのか?と煽られる始末。
「そうだ。こちらから一つ問題を出そう。それに正解したら我々はすぐに手を引く。不正解ならばすぐに終わりをもたらしてやろう。あまりにも楽でつまらなかったからな。」
奴らの目的は資源でも領土拡大ではない。
ただの娯楽。
圧倒的な力で相手を制圧するのを至上の喜びとしているのだ。
「問題はこれだ!お前らの言語に合わせてやったからな!」
そう言って問題が空へと映し出された。
太郎君はお店で4個みかんを買いました。そして次の店で3個リンゴを買いました。
次郎君は何個スイカを買ったでしょう?
「はあ!?問題が成立してないぞ!」
「うるさい!この問題が成立してることすらわからんのか!」
そう言って金属らしき箱が落ちてきた。
「答えの紙はその中にある!我々は約束に従うぞ!回答時間は2時間だ!」
それを聞いた人達は絶望した。何が手を引くだ。絶望した顔を見たいだけではないか。
もうだめかと誰もが思ったとき、私の足がゆっくりとUFOに向かった。
「おい!なにすんだ!終わりが早まるだけだろ!」
多くの人が後ろから罵声を浴びるが問題を見れば見るほどその思いは強くなった。
「ほう?小娘。答えが分かったというのか?」
「はい」
「間違えたら即座に焼け野原にするぞ?それでもいいのか?」
「はい」
「ならば答えを言え!」
「答えは‥‥‥」
自信はなかった。だが霧がかかったように不安定な自分の感覚を信じなければ。
「14です」
高らかに響く笑い声が消えた。
金属の箱がゆっくりと開く。
中の紙に書かれていたのは14だった。
「ふん‥‥‥。正解だ。まさかこの星に量子多重演算における不確定スイカ定数をわかる奴がいるとはな。言ってしまったからにはしょうがない。撤退するぞ。」
明らかに興奮が冷めた冷たい声で言った。
次の瞬間、目が眩むほど光が強く輝いて大量のUFOは跡形もなく消えていた。
後ろの人達が地球を揺るがす程の歓声を上げた。
ああ。この後が面倒だ。
何で分かったんですか?と聞かれても分からなかったからとしか答えられないのだから。
侵略者 ネオローレ @neoro-re
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