デート勝負で決めましょう!

31to73

第1話 水族館で決めましょう!

「第一回デート勝負はここ!水族館!」

 わたし、亀井凪咲かめいなぎさはふたりのクラスメイトの前で気丈に宣言する。ヤケだ。高校受験から一年とちょっと経った高校2年生、5月も終わろうとする頃、わたしの人生を賭けた二度目の戦いが始まろうとしていた。

「持ち時間一時間で交代!妨害禁止!勝った方が次のデート勝負まで彼女になる!負けても文句なし!デート勝負、スタート!」

 簡単に取り決めたルールのおさらいをして、わたしは目の前のクラスメイトの一人、隠岐優弦おきゆづるを腕ごと引き寄せる。優弦ゆづるはわたしの好きな人で、幼馴染で、それで、わたしたちは両片思い同士だ。小さいとき好きって言ってくれたし、先週までは毎日ふたり一緒に帰ってたし、高校に入ってからも周りから「ほんとは付き合ってるんでしょ」ってよく言われる。こんなの絶対両片思いでしょ。

 順風満帆だったわたしの、いや、わたしたちの人生、なんでこんなことになったんだろう…。

「どんなデートを見せてくれるのか楽しみだよ。人のデートを堂々とみる機会なんて、そうないだろうからね。私の彼氏がするデート、となると猶≪なお≫のことだろう」

 後ろから、もう一人のクラスメイト、小早川白兎こばやかわはくとの自信と余裕で満ちた声が聞こえる。全ての元凶。ゴールデンウィーク明けに転校して来た彼女は優弦ゆづると付き合っている。なんで?優弦ゆづる、騙された?弱みを握られてる?全然納得できないわたしは優弦ゆづるを取り返すべく彼女に勝負を挑み、今こうしてデート勝負なるものをすることになった。

 知り合ってひと月も経ってないけど彼女の声から負けることなど想像してもいないんだろうとわかる。それはきっと、このデート勝負に限らず、あらゆる勝負事において、そうなんだと思う。わたしは振り向いて威嚇をする。中性的で整った小早川白兎こばやかわはくとの顔は、声の通り自信と余裕で満ちていた。これが彼女面というやつか。ムカツク!

 確かに今日まではあんたが彼女だったかもしれない。でもそれは今日までの話。この勝負に勝ってわたしが彼女になるんだ!

 わたしは強く意識をして足を一歩前に踏み出す。わたしたちは水族館に入館した。


第一回デート勝負『水族館』。先手番、亀井凪咲かめいなぎさのデートが始まる。

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