第50話 【音録石】ミレットの調査

これは、調査員ミレットが遺品回収に向かった際の音録石である。一部ノイズがあるが支障はない。なお、問題がある箇所は適切に処理してある。



ミレット:

「また、行方不明 探しか。はあ、何も見つからない方が平和なんだけど。そうはいかないわよね……」



(ミレットは、「安らぎの洞窟」に向かっている)



ミレット:

「それにしても、この間は長も優しかったなぁ。私の■■を■■するなんて。■■の時はすごかったのに」



(ビューと風が吹く音)



ミレット:

「もうすぐ、ダンジョンね。洞窟についたら、スライムに注意しなきゃ。大丈夫、試験を通ったんだから、心配する必要はないわ……」



(洞窟の入り口が映る。モンスターの口のように大きく開いている)



ミレット:

「今回は、誰の遺品も見つかりませんように」



(ミレット、足元に注意しながら進むが、危うくすべりそうになる)



ミレット:

「やっぱり、慣れないわね。この感覚。まあ、慣れたら慣れたで、問題ありなんだけど」



(洞窟内にミレットの独り言がこだまする)



(数分間、ミレットの移動する姿の身が映る)



ミレット:

「現在地は……。座標(22.15)ね。もう1週間は経ったかしら。カイルさんの剣を発見してから。もう、この座標にいるのは嫌。早く、次の場所に――」



(洞窟内に悲鳴が響く)



ミレット:

「え、嘘。また、ここで……? は、早く息があるか確認、し、なきゃ」



(ミレットの前に広がるのは、血の海と腹部が内側から破裂した2人の男女の姿)



ミレット:

「今回も。今回もダメだった。私、調査員として失格かな……。この光景を見て、涙がでるなんて」



(ミレット、泣きながらも遺品を回収する)



ミレット:

「今回は、まだましかな。遺品が多いから。早くギルドに戻らないと。なんか、体が重いけど気のせいかな……」



(以降、「拠点村」までの光景が続く)



【研究員のメモ】

床の下から、ミレットが流した涙のような、温かくて甘い匂いのする液体が染み出してきている。



【研究員のメモ:追記】

学生が「先生、中身が出たがってますよ」と、私の腹部に耳を当てて笑っている。

私の腹も、あの映像の男女のように膨れ上がっている。重い。体が異常に重い。

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