第48話 【公文書】ミレットの謁見

これは、ギルド調査員のミレットがギルド長に調査報告した際の文書である。



【ミレットの調査報告】

日付:王暦125年10月25日

担当:速記官アイル



ギルド長:

「アイル、記録を頼む。ミレット、アルバムは持ってきたか?」



ミレット:

「ええ、もちろんです。長の命は絶対ですから。それよりも、私は謝らなければなりません。本来、ギルド規約7条では、遺品の保管期間は10年です。それより昔のものを持っていたのは規約違反です……。いかなる罰則も受け入れます」



ギルド長:

「ふむ、確かに違反だ。それも重大な違反だ。規約12条の私物化禁止にも違反している。これは、言語道断である。ワットと同じ過ちだ」



ミレット:

「村からの追放も覚悟しています……。他の処罰も」



ギルド長:

「そこまで責める必要はない。ワットの場合は、速記官というポジションだったからこそ、罪が重かった。だが、君は1人の調査員だ。多少の過ちは誰にでもある。次に規約を破った時は、許さん。以上、帰ってよし」



ミレット:

「え。いいんですか……?」



ギルド長:

「気にするな。この会話はアイルも含めた3人の秘密だ。いいな、アイル」



アイル:

「もちろんです。口外しません」



ギルド長:

「そういうことだ。最近、村も物騒だ。気を付けるように」



【速記官の私記】

ギルド長は寛容だ。2つの規約を破っても、ミレットさんを許す。もちろん、2度目はないけれど。前任のワットさんも、ギルド長に仕えて思っていたに違いない。「こんな人物になりたい」と。



【研究員のメモ】

私もまた、大学の倫理規定をいくつも破ってきた。

だが、この「記録」の中にいるギルベルト長は、私に「気にするな」と語りかけてくる。不思議だ。鏡の中の私の顔が、少しずつ彼に似てきた気がする。慈悲深く、冷静で、そして――人間味のない、あの顔に。



【研究員のメモ:追記】

学生が「先生、秘密ですよ」と言って、私の口の中に「青い粘液」を流し込んできた。規約違反だ。だが、私は彼を叱る気になれない。私たちはもう、一つの「秘密」を共有する共同体なのだから。

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