第10話 【個人手記】調査員ミレットの記録4

 やった! ギルド長が私の提案を許可された。それより問題は、村長をいかにして騙すかだ。単なる悲鳴では偽物だと看破される。まずは、スライムとゴブリンの生態を把握したうえで、それらしく偽造する必要がある。新米冒険者向け冒険ガイド(王歴125年出版・第25版)には、こう記述されている。



【スライム】

無色に近い青色で、ぶよぶよしている。体長の定義は出来ない。獲物に合わせて体を膨張させるためである。基本的に単独行動のため、新米冒険者でも倒せる。主な生息地「安らぎの洞窟」「そよ風の丘」「はじまりの草原」



【ゴブリン】

体色は緑で、短い棍棒を持つ。背丈は成人男性の腰くらいで、群れで行動する。そのため、新米冒険者が数人で戦う必要がある。主な生息地「安らぎの洞窟」「試練の渓谷」



 こうして書いてみると、二種類が同じ地域に生息しているのは「安らぎの洞窟」だけになる。この記述が正しければ、新米冒険者が経験値を積むには、うってつけのはずだけど……。なんで「安らぎの洞窟」から、戻ってこないのか。時間がある時に、他のダンジョンへ行くか、図書館で調べるのもいいかもしれない。ひとまず、明日に備えて早めに寝よう。夢の中にスライムやゴブリンが出てこないといいけど。羊を数えてれば大丈夫かな?

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