迷宮動物誌 〜私と魔物たちの楽園暮らし〜
ローラーコースター
一章 楽園の主になろう!
第1話 迷宮の中からはじめまして。
25年前、世界各地に巨塔が出現した。各国はそれをダンジョンと呼び、調査した。外壁は破壊不可能、材質は解析不可能。内部には魔物と称される未知の生物がいたが、銃火器や車両、電力の使用が困難であったため、内部の調査は後回しにされた。
すると一年後、ダンジョンから魔物が大量に現れた。銃火器が通用しない生物に人類は対応できず、自然界に魔物が適応した。空を飛ぶワイバーンやドラゴン、森林に集落を形成するゴブリンやオーガたち、そして海には巨大なサーペントたちが住み着いてしまった。この事件は後に魔物氾濫などと呼ばれる様になった。
警察や軍隊では到底敵わない脅威を前に人々は後にクランと呼ばれる自警団を結成し、対抗した。ダンジョン内での戦闘でジョブやスキル、魔法適正を得た人々が現れると、人類は攻勢に転じた。ダンジョン内の資源で武装して戦い、人間の生活圏はある程度奪還されたが、その頃には魔物は自然の一部になっていた。
私、小田原トモは迷宮開拓作業員。迷宮庁の第八開拓部隊の一人だ。今ではダンジョンは冒険者たちが切り開いて、フロンティアと呼ばれる新たな希望の大地になっていた。豊富な資源と広大な大地には人類の発展への可能性が輝いており、魔物によって生活圏を失った人々が移住している。私は冒険者たちが戦う前線との補給路を確保したり、ダンジョン内の生態系の研究していた。
作業は一年に及んだ。家畜化が成功した数少ない魔物の一つである<トプス>で物資を運搬したり、拠点の建設を手伝ったりもしたが、私は[鑑定]のスキルがあるので、生態系調査が殆どだった。私には荷台や物資の運搬を得意とする四足歩行のトプスとは別に、<ラプトル>という機動力と戦闘力に長けた二足歩行の魔物が支給された。私はラプトルで各地を巡って、生物や鉱石の観察や鑑定を行い、手記にまとめる日々を送っていた。
ダンジョン内の資源には鑑定すると見える不思議な紋様があり、[鑑定]を使うとその紋様から様々な情報が明らかになる。ダンジョン内は鋼鉄より頑丈で武具に向いたミスリル、様々な効能がある薬草など、科学的にはあり得ない様な資源で溢れていた。何より重要なのは魔物が脱皮したり、死んだ際に生成する魔石はエネルギー問題を容易く解決できるほどのエネルギー資源だ。
しかし、ダンジョンには問題もあった。まずは空気だ。ダンジョン内の空気には正体不明の作用があり、人間は24時間しか活動できない。それ以上活動すると酸欠に似た症状が現れ、気絶してしまう。その対策として私たちは空気清浄機が配備された拠点を各地に設置している。
更にダンジョン内の生物の多くは有毒で、食料の殆どは地上から運んでくるしかないのだ。更にダンジョン内の水は自然界の水よりも複雑な浄化作業が必要な為、水も45%は地上からの輸送に頼っていた。大型の魔物であるトプスを家畜化できていなければ、ダンジョンの開拓は不可能だったらしい。
一年間の作業が終わって、私はそんなトプスに運ばれて地上を目指していた。私は久しぶりに長期休暇を取って地上に戻れるのだ。
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