掌編・『ノーブレス・オブリジュ』

夢美瑠瑠

第1話


  ヨーロッパには、様々に歴史のある小さな独立国があり、…

 

 と、いってもこれは所謂いわゆるパラレルワールドのひとつの、”任意のヨーロッパ”であり、

 普通の意味で言うと「異世界」のひとつ。


 で、パラレルワールドは、概念的に、人知の想像の及ぶ限り、無限に存在するので、この独立国も、「どこにもない、唯一無二の、不思議極まりない位相に存在する架空の王国」なのでした。


 ファンタジー世界の実存アイ・ディーのための、常識の範疇の?不文律かもですが、それでないと純粋さにかけて、ファンタジックでない。


 この地中海気候の風光明媚な土地柄に、古代から連綿としたっロマンな歴史を刻みつつ実存する架空の王国。

 醸造酒とダイヤモンドが特産品の、そこから類推できるように、裕福で観光資源の宝庫である”ノエヴィタイン公国”には、伝統のある万世一系の王家もあり、それゆえに忠実で誇り高い国民はみな勇猛果敢な気性で、音に聞こえた精強な軍隊もあった。

 

 こじんまりとした国。…でも”情報革命”以来にヨーロッパは下剋上の風潮。


 ノエヴィタイン公国も、厳格に国境を防衛して、国民の財産やら名誉やら女性の貞操やらを蹂躙されないようにと備えはおさおさ怠りなかった。


 国家防衛のための、理想的なタクティクスとストラテジーを考案実践する”マジャベリ”という権謀術数主義マキャベリズムの宰相が権力の中枢に鎮座していた。


 王や王妃は聡明で気品に満ち、お飾りではあっても、尊敬を受け、愛や平和、幸福、そうした至高の概念がノエヴィタインの建国理念ということをシンボライズしていて、そのためのアクターが彼ら、そういう趣でもあり、聡明であるがゆえに王たちは、寧ろ精霊か何かのごとくに、役割を完全に演じ切っていたのだ。



<つづく>



 

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