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好きの反対がむ関心である様に、ある程度興味を持っていても、話題に出さない時点で好きではない。逆にボロクソ言う物は本気で嫌っては居ないのである。

そうした意味では私はやっぱり捻れているし、素直とは言い難い。


昨日訪れたばかりの純喫茶『キャバレー』に再度訪れる事にした。別に行く必要は無いはずだった。高カロリーなつけ麺は食べたし、甘味屋で汁粉も食べた。それ以上何も求めるものはないはずであった。だからそのまま去るのが得策なはずであった。

けれども私はこうして『キャバレー』に訪れて、珈琲を啜っている。相も変わらずギラギラとしていて、人の怒号と歓声が飛び交う喧騒の中でただ薄ぼんやりとしていた。

――此処の店の何処が気に入ったの?

――別に。

――内装? 珈琲? パフェやケーキ?

――強いて言うなら珈琲。

脳内で私を揶揄う様に、別の誰かが前に座って聞いてきた。暇を潰したそうに、髪をくるくると指に巻き付けて、ニヤニヤと笑っている。

さっさと去れ。ホストじゃねんだから。求めてねんだよ。お前の事。

そんな暴言を吐きながら、ちらりと当たりを見回した。照明は目に入ると痛くなる様な人工灯。厨房から響き渡るラジオだか昭和歌唱は混沌を極め、其れに混ざる様に人々の話声のゴシップの喧騒が入り交じる。

――嫌いな癖に。人の喧騒も、ギラギラし過ぎた華美な装飾も、外見だけを取り繕った中身のない全てを嫌っている癖に。

――うるさいよ。どうして黙って居られないの?

まぁ好きじゃないけど。席に着くと同時に質問責めに会うのも、張り付いた笑顔でゴリ押しをされるのも、中身のない会話で時間を終えようとするのも。好きじゃない。

けども。

――まぁまぁ気に入ってるんだよ。此処にいる。其れが全てでしょ? ぐだぐだ無駄口叩きに来たんなら、さっさとどっかへ行って。つまらない。

そう言うとまた姿を見消した。何を気に入るか、何を拒むか、そんなものは私の気持ちより身体が覚えている。外野にとやかく言われる気はねぇ。


――ええじゃろ?

スマホを見ると、女性が好みそうなケーキが流れてきた。ピンク色をした、層になったスポンジとクリームが特徴のケーキだった。

――何処のケーキ?

――キャバレー。

彼奴結構気に入ってんじなねぇか。

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