クレーンでクリパを持ち上げたら監禁罪になるか~Twitterでの事例を参考に~

星野屑

楽しかったはずのクリパが犯罪に?!

back numberがやけに情緒を醸し孤独に染み入る寒さの強くなりゆく今日こんにち

はじめまして、星野ほしのくずと申します。


クリスマスと年越しの間の、余白を過ごされている読者様におかれましては、今年のクリスマスはどのようにお過ごしでしたでしょうか。


家族や友人、恋人と過ごしたー、楽しかったーなどと聞こえてくるようです。


私はというと、六法と向き合い、机上の罪人を永遠に罰していました。


そんな思い思いのクリスマスの翌日、Twitter(現X)で興味深い投稿を見ました。


パーティーテーブルがきらきらと光っていました。それだけならなんと豪勢な、で終わりなのですが、そのパーティーテーブルはクレーンに吊り下げられていたのです。

そう、あのクレーンです。


工事現場(大きめの)でみるようなあの。


重いものとかを高層階に運び出す為にあるあのクレーンです。


みたところ5.60メートルはありそうです。


世の中とはわからないものです。


いつどのようなきっかけで、

「落ちたら死ぬ高さでパーティーしようぜ!!!!!!」

「いいね!やろう!」

となれるのでしょうか。


色々と思うことはあるでしょうが、様々な罪人を(机の上で)罰してきた司法の番人、公平と正義そのもの、世の理を司る者として、今回は、この「事件」が監禁罪に該当するか、というお話をします。




__関係各所からの聴取および私独自の取材により明らかになった事実関係は以下のとおりです。


「Xとその友人らはクリスマスに食事とお酒を楽しむ場として、クリスマスパーティーを考案した。Xらは、普通のクリパでは面白みにかけるとして、クレーンに吊り下げられてパーティーを楽しむ案を思いつき、適法な手続きをもって12月25日19時頃用意したテーブルにお酒その他必要なものを揃え席についた。甲の操縦するクレーンが同テーブルを持ち上げ、同19時半ころ地上50mに達した。」


本事実関係をもとに問題設定を行います。

問)本件において、甲の罪責を述べよ。ただし、甲はクレーンの操縦において手続き等は適法に行ったものとみなす。


刑法220条にはこのように書かれています。

「不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。」(eGov法令検索)


いわゆる、逮捕・監禁罪です。


本題からそれるのですが、皆様「違法」と「罪」の違いをご存知でしょうか?


「罪」というのは「構成要件に該当する➀、違法で②、有責な③行為」です。

そして、違法はまあ➀と②をみたせば違法という感じでしょうか。


唐突に呪文をくらわせたことについては、わびます。

もう少々雑談に付き合ってください。

➀は簡単です。

法律に書いてあるってことです。

暴行罪というにはまず「人を殴った」というのが大前提なのはわかるでしょう。

②も言葉が簡単なゆえ、簡単です。

正当防衛とか試合じゃなかったらセーフ、そうじゃなきゃアウトって感じです。

人にボコスカ殴られたあとに、生きるために殴ったなら、暴行罪にはなりません。

同じく、ボクシングの試合も懲役よろしく殴り合っていますが、ルールに則って双方合意の上、文化として殴り合っているので「違法じゃない」=暴行罪じゃない、わけです。

➂は、、、まぁ理解するのは簡単です。

刑事未成年とか、心神喪失者はセーフ、って感じです。自分がやったことの法的にどうなるか、罰せられるのが分からない人間には他のアプローチが必要でしょう。

いや、罰しろよというのはわかりますが、クリパ監禁事件においてはさしあたり問題とならなそうなので、一旦無視してください。


てなわけで、話は戻り。

クリパ監禁事件をしていきましょう。


なにも、監禁というのは「閉じ込める」必要はございません。

移動できないのって嫌よなー、流石にそこらへんは自由守ってほしいよなーというところから監禁罪は生まれたのです。

つまり、「移動できなくさせた」時点で監禁罪は成立します。


通常、地上50mに吊り下げられた人間はそこからでることができません。

もちろん飛び降りたら死んでしまいますし、そんなパリピ人間がパラシュートをつけてるはずも、自衛隊がへりで助けてくれるはずもありません。

すべてはクレーンを操作する甲の術中です。

甲の手に移動の自由が委ねられています。


しかし、法律に書いてあるからといって全て罰せられるわけではありません。

②違法、の話です。

通常、被害者の同意があれば違法ではなくなります(小難しく言うと、被害者の同意は違法性阻却事由なのです。)

「お金あげるから殴らせて」

「いいよ」

デュクシ

「は?お前暴行罪やんけ」

は意味が分かりません。

法律を作っているのは小学生ではないのです。

では、「騙されて」同意した場合はどうでしょう。(錯誤による同意の有効性)

「お金あげるから」と言われたから殴らせたのに、お金をもらえなかったとかです。

この場合、ふたつの考え方があります。

「お金あげるから」同意したのだから、そこで騙されたんだったら同意してないのと一緒でしょ、同意した理由に勘違いしてたんだったら同意してないのと一緒(条件関係的錯誤説)。

もうひとつは、殴られること自体はokしているんだから騙されてない(法益関係的錯誤)。

本事件においては、被害者Xらは甲にクレーンでつるしあげてくれ、と頼んでいます。

よって、条件関係的錯誤説からは同意自体被害者ら自体のもので、その理由に勘違いはありません。

そして、法益関係的錯誤説からもクレーンで吊り下げられたら移動できなくなるのは予想できるもので監禁されること自体にはokしているのです。

三大欲求にクレーンで吊り下げられたい欲求のある人間が、そこを想像できるかというのは考えどころですが、流石に私は彼ら・彼女らを信じています。

よって、本件は有効な同意があります。

これらによって、甲の本行為は逮捕罪に該当しない。

まぁ、法がこれを許しても、社会的にどうとされるかは他の方に託しましょうか。




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