海異恋愛譚
タウタ
プロローグ
アラートが鳴り響く。警告ランプが明滅し、潜水艇内部を赤く染めた。深度計の針はぐんぐん進み、水圧計が警戒レベルに達しようとしている。舵がほとんど利かない。記憶にある限りの対処法を試す。スイッチを入れ、切り、また入れる。先生、死んだらどうなるんですか、と遠くの海にいる師に語りかける。先生はオムレツの作り方から潜水艇の操作方法まで何でも教えてくれた。死んだらどうなるかはまだ教わっていない。
突き上げるような衝撃を受け、潜水艇が傾いた。アラートもランプもぶつんと切れ、潜水艇の中は真っ暗になった。外部の探査ライトがざらついた岩の表面を照らしている。さっきまで岩なんてなかった。不審に思う間もなく二度目の衝撃で座席から放り出され、頭をしたたかにぶつけた。目が回って気持ちが悪い。朦朧としながらコンソールに手を伸ばす。探索用マニピュレータが動くよう願い、フィン・シュナイダーは自動操縦のボタンを押した。暗く沈んでいく視界で、美しい緑色の球体が神秘的な光を放っていた。
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