　春先の田んぼは水に覆われて、いろんな生き物が見つけられる。

　オタマジャクシを捕まえに来た僕は、水田の角にある蛙の卵を見つけた。

「この卵を持って帰って、オタマジャクシになるまで育てよう」

　僕はワクワクしながら一度家に帰り、バケツを持って田んぼに戻った。

　ぷよぷよした手触りの蛙の卵を両手で掬ってバケツに入れて持ち帰った後、家の庭を見回して卵の置き場所を決めた。

　庭にある、大きな水瓶。

　高さ1メートル。

　直径50センチ。

　祖父が盆栽にあげる水を貯めている瓶だ。

　僕はその水瓶に、蛙の卵を沈めた。

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