都市伝説。
ただの噂に過ぎなかったそれが顕在化し、人を殺す世界。
一ノ瀬燐碧は都市伝説を討伐すべく、日夜奮闘する。
そんな彼は人ではなく、怪異であり……。
ダークファンタジー特有のじっとりとした空気感がたまらない作品です。
しかし、世界観だけに焦点を当てているのではない、というのがこの作品の大きな特徴。
人でありたい、けれど人のままでは誰も守れない。
個性的な仲間と強烈なバディ。彼らと共に一丸となって立ち向かうそんな姿が、どこまでも人間らしい作品でした。
ダークファンタジーが好きな方、人間の成長する姿が好きな方、おすすめです!
主人公が「特殊武器と相性最悪だから戦えない最弱兵士」として語られていたものが、
終盤で「すべての怪異のOOOO(ネタバレ防止)」という真相に反転したときは
「あ、この作者さんは結末から考えてるのかな?」と思いました。
特にここはいいなと感じたのは、この物語を支配する三つのルールの一貫性です。
「強さと人間性のトレードオフ」「未練が災厄を呼ぶ」「出自による境界線」という法則が、徹底されていました。
主人公がOOOO(ネタバレ防止)を守るために孤独なOOOO(ネタバレ防止)の道を選ぶ結末は、感情的には絶望的ですが、
私には「そうなるしかなかった」という論理的な帰結であると読み解きました。
ご都合主義に持っていかないで、自身のルールを貫いたのは素晴らしいと思います。
いのりが主人公の告白に対し、顔を見せず「背中合わせで俺の後ろに座った」シーンでは、拒絶と信頼が同居する距離感が、
言葉ではなく仕草だけで表現されており、私はこの非言語描写の解像度の高さもいいなと思いました。
Show, Don't TellのまさにShowだと思います。
そして、敵を喰らう際の味の描写(「濡れたかりんとうみたい」「ココア味のチューイングガム」)が、終盤で主人公の味覚が失われていく過程と対比されることで、
彼が人間から遠ざかる絶望が生理的なレベルで伝わってきました。
とにもかくにも表現にかなり力を入れていて、なかなか読み応えのある作品でした。
素晴らしい作品をありがとうございました!