ホームラン侍、参上!
転生新語
プロローグ
「ホームラン
今日も円形競技場で、半そでに半ズボン姿の彼女が名乗りをあげる。この施設が以前に、どのような用途で使われていたのかを知るものは現在、存在しない。戦争で世界が崩壊するよりも
晴天のなか、比較的に裕福なものたちが、観客席からオペラグラスで競技場の中央を眺めていた。そこには
『では、本日の最終決戦! 始め!』
場内にアナウンスが流れて、中央の全員が動き出した。ほぼ皆が
「今日も彼女の勝ちだ」
観客の一人が
『打ったぁー! 今日もホームラン侍が、でかい当たりを出しましたー!』
決戦の様子は、外の
『ヒット! ヒット! ヒット! 次々とホームラン侍が、ぶっ飛ばしていきます。だめだ、こりゃー!』
アナウンスも
ただ金棒を持って、助走をつけて標的を打ち、振りぬいて吹っ飛ばすだけである。シンプル過ぎて、逆に誰も対策を思いつけない。決して曲がらない金棒の頑丈さも、強さの
「今日も圧勝ですか。儲けさせていただきましたな」
「ええ、まったく。ホームラン侍のおかげですな」
競技場で行われる決戦とは賭け試合で、今日もホームラン侍に賭けていた観客たちには電子マネーが振り込まれる。まともな決戦では勝負にならないので、最近は複数の機械人間が彼女一人と戦う形式となっているが、未だにホームラン侍は無敗であった。
爆発炎上した競技者が担架で運ばれる。幸か不幸か、身体の大半が機械なので、部品を取り換えれば修理は可能だ。競技場で戦っているのは犯罪者まがいの連中が多いのだが、最近はホームラン侍に勝つことを目指して競技に専念しているものも多いと聞く。平和になるのは良いことだ。
外のラジオ塔の周囲からも人々は立ち去り、夕日が暮れる。明日からの劣悪な労働にも耐えられるような、希望を世界に与えられる存在。ホームラン侍とは、そういう少女であった。
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