大阪の路地裏より愛を込めて

京田 学

三つ子の魂、三十路で変わる

「三つ子の魂百まで」って言葉あるじゃないですか。あれ、昔は「まぁ確かに」って思ってたんですけども、ここ最近ちょっと違うかもなって思うようになってきたんです。

 

30代後半に入ったあたりから、考え方が変わってきて。前は完全に自分中心、心の矢印は100%自分に向いてたんですよ。でも今は少しずつ、他人に向くようになってきた。

昔は人との会話が正直めんどくさかった。

でも今は、「この人どんな人生送ってきたんやろ?」とか、「何が好きなんやろ?」って興味が湧く。いわゆる他人への関心が出てきたんよね。
もしかしたら、これが「知的好奇心」ってやつなのかもしれない。10代の頃なんて、「人に影響されたくないから本読まない!」とか言ってたんですよ。ソクラテスに聞かれたらぶん殴られてるぐらいの無知。

 
そんなヤツだからか十数年前、会社辞めた。
「俺には組織は合わん!」とか言って。まぁ、今思えばただの逃げ。
実際は、コミュニケーション能力がなかっただけなんですよね。横の繋がりはまぁまぁできたけど、上の世代とは全然ダメ。何話せばいいか分かんない。

「天気いいですね〜」とか、どうでもよすぎて向こうも嫌なんじゃないかとかあれこれ考えたりして。
そういう雑談を入り口に会話広げられたらいいんですけど、全然続かない。たぶん話の引き出しが少ないのもあるんでしょうが、自分がどう思われるかだけに気を取られて、相手のことにちっとも興味がなかったんでしょうね。

 
そんな自分も、ごくたまに「社交的ですよね」って言われたりする。いやいや、違うんですよ。ただ沈黙が気まずいから、無理してるだけ。
不安や沈黙への耐性が低いから話す人と、好奇心や共感から話す人は全然ちがう。


 人との距離感って難しいよね。

会社勤めしてた頃、朝の通勤途中に課長が前歩いてたりするじゃないですか。そういう時って、絶対追いつきたくないんですよ。
「おはようございます!早いですね〜」って自然に言えたらいいんですけど、無理すぎて。だからわざと歩くスピード落として距離をあける。でも、なぜか課長もめっちゃ遅い。「早よ行けや…」って思いながら歩いてたら、ふと気づくんです。課長の前には、部長が歩いてる。
「お前もかい!」って思わず心の中でツッコミましたよね。


んで後ろ振り返ったら案の定後輩おる。




そんなもんです。

「最近の若者はコミュ力が低下してる」とか。まぁ、当時の自分見たら納得ですけど。でも思うんです。**別に若者だけやないやろ、それ。人によるわ。**年齢じゃなくて、向き合い方の問題。

今は自分も「気を使われる側」になってきたんかなって思うこともあって、だからこそ、通勤途中に後ろを振り返ってみれる、そういう向き合い方をする心構えでいたいなと思います。


⭐️⭐️本編の 血環ー大阪ブラッズー⭐️⭐️

アウトローノワール小説です。是非ご一読くださいhttp://kakuyomu.jp/works/822139841484497687



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