第7話~1歳おめでとう①
さて、春にあった月光事件も頭から抜け落ちるくらいの時期になった。
そこから夏、秋と跨ぎ、今は冬。
何も予定がなく、暇な毎日を送っていた。しかし、あたし以外の屋敷の人は忙しそうだった。
気にも留めていなかった忙しそうなメイド達が、まさか今日のための準備をしていたとは。
そう、今日だ。
「お嬢様!1歳のお誕生日、おめでとうございます!!!」
お父様とお母様の部屋に連れていかれたもので、なんだろうと不思議に思っていたあたしを待ち受けていたのは、大量の飾り付けにプレゼント、そしてクラッカーだった。
「ここにあるプレゼントは全部、この国の貴族からだよ」
貴族、暇人なのかな。
実際にいる貴族の数を知っているわけではないが、絶対それより多い。だってプレゼントがお父様の身長より高く積まれているのだから。
にしても、なんだか既視感のある赤い箱が1つあるなぁ。しかもど真ん中。
箱にしてあるラッピングを留めてる部分には、お父様の執務室でみた手紙のシーリングスタンプと同じ模様がつけてある。
「お目が高いわねぇ、ダイアネロちゃんは」
お母様、詳しく教えてください。
「その赤い箱でしょう?赤は王家の証なの。他のプレゼントの中に赤の箱がないのもそれが理由」
確かに、赤は見当たらない。
あれ、ていうことは…………お父様の机の上にあった手紙って、王家からの重要書類じゃない!?!?
一体国王と何のやりとりをするのだろうか………………。
そうしているうちにお母様が赤いプレゼントを開けてくれた。王家のセンスを確認しようじゃないか。
「あら、エストゥナが選んだのかしら。かわいいわね。…………にしては意味がちょっと……………」
ヘアゴム!
正直ドレスとか靴とかより断然嬉しい。着ていく場所も、歩く機会もないからね~。
このヘアゴム、小さな赤い宝石がついてる。これでかわいくポニーテールも出来るし、ハーフアップも出来そう………!
髪の毛もっっと伸ばして結べるようにしたいなぁ。ミディアムくらいでお下げって言うのも良い。
それでお母様の言っていた意味っていうのは、ヘアゴムの宝石が赤いのが関係してそうだ。
これくらいなら察せるんだよ、あたしも。
「………………婚約だな。手紙は届いていたが、早すぎないか?」
一般的に勉強し始める年齢になってから婚約とか決めそうだよね。
きっと、こんなにプレゼントをもらえるような公爵家の娘と婚約することで、王家の力を弱めないようにしてるんだろう。
あたしはOKだよお父様!!そんな渋い顔しないで!かっこいいお顔にシワがよっちゃってるってば!
「ダイアネロの意見も聞きたいところだし、今回は無視しよう」
シチフと会話したときにいったように、貴族としての義務や役目は果たすつもり。だから愛がない婚約とか結婚だってしてみせる。
転生もしてるし、さらには裕福で幸せな公爵家だよ?これ以上高望みするのは少し高慢な気がするのだ。
「じゃあこのヘアゴムはお蔵入りね」
うそ!?こんなにかわいいのに……………。
それに、国のリーダーがくれた物だからそこらのやつとは値段が違いそうで怖い。値段の桁が違う可能性が…………。
そんなものを捨ててしまうだなんて勿体無いよお母様ぁ。
「悲しい顔をしないでくれ、ダイアネロ。あれくらい簡単に手に入るから」
優しい顔でそんなパワープレイ宣言されても。やっぱうちの当主の金銭感覚はバグってるんだろうか。
あれ、肝心のあたしの両親からのプレゼントってどれだろう。まさかあの山のなかに紛れてるわけないし、
ぐぅぅぅ~
きゃ、きゃぁぁぁ!!!!!!
レディにあるまじき音が鳴ってしまった、!恥ずかしすぎて埋まりたい…………
「ふふっ。さ、早めにディナーにしましょう」
お母様、ナイスフォローでございました。
もう暗くなってきてたし、だいぶはしゃいでお腹減っちゃったみたい。
ご飯を食べに向かう時、普段は侍女長がだっこしてくれてたけど、今日はお父様がだっこしてくれた。
思ったより安定していて眠っちゃいそうだ。いつもはこのへんで寝ちゃうけど、今日は我慢をする。
なぜかというと、最近食べれる種類が増えて、食事が1日の楽しみになったから。ほんっと、成長するって素晴らしいことだとしみじみ感じてしまう。
しかも意外と誕生日を迎えるのが早い。そこまで暇をしないで色々行動できる年齢になれそうだ。
「今日はいつものロールパンで、薔薇をつくらせたの!」
料理人の苦労と技術が顕著に出てる。めちゃくちゃ綺麗だ。切り込みの入れ方で再現できるとは。
いつも食べてるロールパンと見た目が全然違うせいで別の食べ物に見えてしまうほどだ。
大変そうだけど食卓が一気に華やかになるなぁ。
では、いっただっきまーす!!!
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