日本神話における「月」の不在を、世界神話との比較から静かに浮かび上がらせていく作品です。
月が担うはずの役割がどこへ消えたのかという問いを軸に、神さまの物語がどんな仕組みで作られ、どんな事情でまとめられたのかを丁寧にたどっていきます。
世界各地の月神が豊かな物語を持つ一方で、日本だけが奇妙な空白を抱えているという指摘は、読み進めるほどに驚きが深まります。
神話そのものよりも、その“欠けている部分”が語るものに焦点を当てている点が印象的で、読後には夜空の月をふと見上げたくなるような気持ちになります。