第26話

数年後、雪 今後悔色


体育館の匂いは、

もう懐かしいものになっていた。

大学のキャンパスを歩きながら、

ふと、

バスケットゴールを見上げる。


——まだ、届くかな。


そう思って、

少しだけ笑った。


人と話すのは、

相変わらず苦じゃない。

後輩にも、

友達にも、

ちゃんと優しくできる。

でも、

“踏み込む”ことだけは、

今でも、少し慎重だ。


夜、

部屋に戻って、

机の引き出しを開ける。

奥にしまったままの、

古いイヤホン。

スマホをつける。


📻 作楪:配信中


「こんばんは~」

その声を聴くと、

胸の奥が、

少しだけ痛む。


——あのとき、

言えばよかった。


今さら、

どうにもならないことを、

もう、ちゃんと知っている。


それでも、

後悔が、

自分を大人にしたことも。

雪は、

スマホを伏せた。

窓の外で、

風が、木を揺らしている。胸の奥で、何かが小さく鳴った。

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