【6】情報提供-高柳祐介(23)
Aさんの言うこと聞いておくべきでした。
そしたら……こんなことにはならなかったでしょうね。
もう遅いですけどね。
妹は……
死んでしまいましたから……。
クソッ……。
なんでアイツが……。
……。
いえ……すみません。
はい。
あの日……ですか。
あの日は……
バイトの……帰りでした。
そしたら電話があって。
妹です。
迎えに来てくれって。
サークルの飲み会があったみたいで。
大学生でしたから。
行ったらけっこう酔ってて。
面倒だったんですけど慣れてましたから。
いつもみたいに後ろに乗っけて……二人とも実家なんで、向かってる途中でした。
大量の蛾が……飛んできたんです。
ヘルメットだったんで、口には入らなかったんですけど。
やっぱりビックリして。
バイクを止めたら、前方のほうで大きな雲が渦を巻いているのが見えました。
虫とか、魚とか、爬虫類とか巻き込んでたらしくて、終わるとバタバタ落ちてきましたね。
そうですね……とりあえず拾いました。
食べたかったので……。
妹は……料理が得意なんです。
二人で両手で抱えるほど持ったらバイクに乗れないじゃんって……笑えるでしょう?
ははは。
ははは。
ははは。
幸せでしたよ……あの瞬間までは。
そうです。
妹は酔っていたんです。
まさか……
中指を立ててしまうなんて……。
俺は止めました。
でも……拾ってる途中でしたから。
全力では無かった……。
それが悪かったんです……。
気づけば、妹の首はぶっ飛んでいました。
空中で回転して地面に落ちました。
妹の首の断面から……
吹き出した鮮血は柱のようで美しかった。
妹は……美しいんです。
その綺麗な顔を……「瞬足」の二文字が潰しました……。
クソッ!
あのクソガキッ!
妹の首は……
坂を転げ落ちて行ったんです。
俺は追いかけました。
しかし……
コーナーで差をつけられてしまった……。
そこからグングン引き離されて……。
気づけば見失っていました。
俺の心は喪失に支配され、理性は遠退きました。
クソガキを殴り飛ばして初めて「俺はなにをやってんだ……?」と我に返りました。
こんなの俺じゃないって……。
俺は……なんて浅ましいんだ……てね……。
その時でした。
語りかけてこられたんです。
テンシ様が。
こんな無様な俺に。
テンシ様は優しく微笑まれると、静かに仰られました。
妹は……
……俺の中で生き続けていると。
なんということだ !
ええ!?
妹が生きているだって !?
ええ!?
ええ!?
ええ!?
俺は……涙が止まりませんでした。
そうか。
妹は死んだけど……生きている、と。
刹那、俺は感じたんです。
俺の体内で蠢く妹の姿を。
妹の存在を。
妹の肉体を。
妹の息吹を。
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