ウォーター

余白

ウォーター

君と目が合った時、心臓が止まった気がした。


その目は、まるで氷のようだった。

触れた瞬間、僕の心臓は凍りつく。

氷の前では誰もが丸裸にされる。

見せたくないものさえ、容赦なく暴かれる。


君の視線から逃れられる者がいるものか。

逃げたいのに、逃げたくない。

僕はその冷たさに、釘付けになった。


それなのに、君の目はすぐ水に変わる。

温かくも、冷たくもなる。

僕の心を、簡単に揺らす。


その変化に一喜一憂し、同時に腹立たしくもあった。


わざと僕を見ないふりをするのか。

僕で遊ぶ君の水面に、触れたくなる。


水を揺らすのは僕の方だ。

揺れるのは君だ。

僕じゃない。


——それなのに、挑んでいるのは僕だけだった。


僕はわざと目線を外し、君が想像もしないだろう話題を投げた。

君の水面を揺らしたかった。ただそれだけだった。


けれど、僕の言葉は届かない。

霧に向けて引き金を引くようなものだった。

確かに撃ったはずなのに、衝撃も音も返ってこない。


君はそこにいる。

触れられる距離にいるのに、輪郭が掴めない。


水は揺れない。

いや、揺れているのは僕だけだった。

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